研究概要 |
本研究は,神経系情報の利用によって,あたかも自分の手足のように自在に動かすことのできる義肢などを開発することを念頭に,(1)神経信号による外部機器制御システムを構築し,(2)制御対象に応じた神経系の出力変化特性,さらに対象機器の脳内表現形成について,生理学,制御工学,脳科学的視点から解明を行い,(3)神経系と外部機器との融合的制御システムを開発すること,を目的とするものである.今年度は下記の課題について研究を行った. 1.神経信号計測系の作成 神経信号を慢性的に計測するための計測系を作成した.具体的には,神経電極に関しては柔軟剣山型電極をもとに本研究用に設計変更を行った.ラット硬膜下の運動野対応領域に設置するための,多チャンネル柔軟電極を作成し,ノイズ対策のために電極上にオペアンプまで実装するタイプの電極を作成した.また,金属針による多チャンネル電極も併せて製作し,両者を用いることとした.また神経信号計測のテレメトリ化についても検討を行った. 2.神経信号による外部機器制御システムの構築 ラット自身を乗せ,運動野神経信号により制御することのできる小型の車両を作成した.上記の計測系に加え,計算機,計測制御ソフトウェア,そして車両によって構成される外部機器制御システムを構築した. 3.解析結果の評価と融合制御実証システムの作成 ラット運動野から計測された神経信号と,ラット自身の歩行速度との対応に関して解析を行い,1次元の拘束条件下ながら,計測神経信号からの歩行動作をある程度推定することが可能であることが示された.実際にラットを車両に乗せてリアルタイムの制御を行うことなどを,次年度の課題とする予定である.
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