研究課題/領域番号 |
15300159
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 天美 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00233776)
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研究分担者 |
齋藤 洋一 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20252661)
吉峰 俊樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00201046)
水野 由子 兵庫県立大学, 大学院・応用情報科学研究科, 助教授 (80331693)
下條 真司 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (00187478)
篠崎 和弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40215984)
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キーワード | 脳-コンピュータインターフェイス / 皮質脳波 / 事象関連同期 / 大脳生理 / 運動皮質 / 脳磁図 / 合成開口法 |
研究概要 |
本年度は、前年度に引続き、治療のため頭蓋内電極を設置された脳神経外科患者を対象とし、手指、手関節、肘関節などの随意運動課題遂行時において、筋電図をトリガーに運動野近傍の脳皮質脳波信号収集をおこないデータの集積を計った。これらの事象の解析には前年度のMatLabを用いた時系列信号の変化を統計的に視覚化するプログラムのほか、BESA法を用いた。BESA法ではMatLatより、結果の表示に良好な視認性が得られ、さらに電極間の相関解析が可能となるよう現在準備中である。これによると、運動開始前からαからβ帯域において認められる事象関連脱同期は個体差があるものの平均480ミリ秒前であること、またそれが前運動野から吻側の皮質においてはより早期から認められ、運動企図が具体的な運動駆動信号の形成へ情報処理が進行する過程が観察された。また、運動開始後はhigh γなど高周波帯域に事象関連同期が認められ、運動の制御や感覚皮質の活動、とくにnegative feedbackに関与するinterneuronの活動が示唆された。 分析にはさらに、KM20-ランジュバン方程式論を導入し、その精度や感度を検討した。これは確率論から派生した理論であり、定常解析、異常解析、因果解析、決定解析を可能とする。これは、ある局所的な確率過程の時間発展を、各時点において、その時点までの系列で記述可能な部分とそれまででは表せない、つまり直交する部分とに分解することを繰り返すことで、確率過程の特徴を捉えようとするものである。これまでのところ、運動開始時点は定常性の崩れとして捉えられることが判明した。しかし、計算量が多く、リアルタイム性が損なわれること、分離性にまだ問題があり、さらなるパラメータの調整が必要な状況である。来年度はこれらのアルゴリズムを中心に、そのほかのアルゴリズムも試し、実用的な情報伝達につなげたい。
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