研究概要 |
1.O_2^-発生源の完成 NADPH oxidaseの制御サブユニットを改変することにより酵素本体であるcyt.b_<558>を永続的に活性化することに成功した。この結果,NADPH oxidaseは著しく安定になり,また活性化方法は従来に比べて極めて簡便になった。活性化法における改良点は次のようである。i)活性化に独自の67N-47N融合タンパクを利用,ii)RacのQ61L変異体を利用 iii)SDSを用いない活性化法を開発,などである。 2.保存法の開発 濃い濃度で酵素サブユニットを混ぜて活性化させたのち、凍結すると、解凍後も活性が全く落ちていないことを見い出した。これにより、活性化酵素を使用可能な状態でそのまま保存することが可能になった。また,デバイスを凍結した状態で発送し、利用者は実験時に解凍して用いることが可能になった。さらに,活性化した酵素を化学架橋剤で固定する方法を開発した。この結果,デバイスは細胞培養での保温にも,希釈に対しても非常に安定になった。 3.酸化ストレス実験への応用 アミロイド形成の実験系としてしばしば用いられるHEK293細胞を用いてex vivoでO_2^-の影響を調べた。培養液にデバイスを加えて30時間培養した。デバイスを5,000倍希釈で用いた時には細胞の増殖がとまり、500倍希釈では細胞死が起こった。O_2^-をH_2O_2へ変換する酵素SODを共存させた時にはこれらの現象は見られなかったことから,この現象はO_2^-の直接の作用によると思われた。一方、ニューロン細胞では同程度のデバイスを加えてもこのような現象は見られなかったが,さらに高濃度のデバイスを加えると細胞死が起こった。アストログリア細胞では高濃度のデバイスを加えても細胞死は起こらなかった。
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