研究分担者 |
山崎 文靖 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (10243841)
谷 俊一 高知大学, 医学部, 教授 (90136250)
柿沼 由彦 高知大学, 医学部, 助教授 (60265866)
安藤 元紀 高知大学, 医学部, 助手 (20222789)
牛田 享宏 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (60304680)
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研究概要 |
1.研究の目的:老年医学の進歩とともに,加齢にともなう動脈圧反射障害による起立性低血圧が多くの寝たきり老人の一義的な原因であることが報告されるようになった。また,中高年を好発年齢とする進行性の神経変性疾患,例えば,シャイ・ドレーガー症候群・多系統萎縮症,あるいは,外傷による高位脊髄損傷などでは,生命維持に極めて重要な血管運動中枢が侵されたり,交感神経遠心路障害により,圧反射機能が廃絶するため,重度の起立性低血圧や起立性失神をおこすようになる。そして最期には,寝たきり状態となり(全面介助率45%,厚生労働省の平成9年度療養生活実態調査),生活の質が著しく障害される。さらに,嚥下性肺炎や尿路感染症を繰り返し(入院率60%),死にいたることが多い。残念なことに,現在のところ治療の手だては全くない。そこで,本研究では,二年間の実験的臨床研究により,起立性低血圧を克服するための機能代行装置「バイオニック動脈圧反射装置」に不可欠なヒト血管運動中枢の動作原理の同定およびヒト交感神経の有効な刺激方法を開発する。 2.本年度の研究実績 動脈圧反射の機能再建デバイスとして臨床応用可能なバイオニック装置を開発するために,ヒトの血管運動性交感神経を刺激する方法として,硬膜外カテーテル電極を用いた方法を開発した。圧反射失調の臨床的モデルとなる全身麻酔中の患者を対象に,硬膜外腔からの電気刺激に対する動脈圧応答を伝達関数として同定した。この伝達関数を利用して,ヒトの血圧を自動制御するためのシステムの設計に成功した。比例・積分補償型のネガティブフィードバック制御により十分ヒトの血圧を制御可能であることがわかった。
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