研究課題/領域番号 |
15300166
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
片山 佳樹 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (70284528)
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研究分担者 |
村田 正治 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (30304744)
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キーワード | 遺伝子送達 / 薬物送達 / 細胞内情報伝達系 / 遺伝子治療 / プロテインキナーゼ / アポトーシス / プロテアーゼ / ターゲティング |
研究概要 |
細胞内プロテインキナーゼとしてAキナーゼに応答する薬物カプセルと遺伝子キャリヤー、及び細胞内プロテアーゼとしてカスパーゼ3に応答する遺伝子キャリヤーについて、詳細に検討した。Aキナーゼ応答型薬物カプセルでは、基質ペプチドにPEGを連結させたマクロモノマーを開発し、これとイソプロピルアクリルアミドを共重合することで、これまでより表面基質濃度を高くしたナノカプセルの開発に成功した。 Aキナーゼ応答型の遺伝子キャリヤーとしては、これまで基質ペプチドとアクリルアミドを共重合したものを開発してきたが、細胞導入効率が悪かったため、基質ペプチドに細胞膜透過型のTat配列をジスルフィド結合で連結したキャリヤーを合成した。このキャリヤーは、細胞内に遺伝子を導入後、細胞内のグルタチオンでTat部分が除去されることを狙ったが、細胞内への導入率向上は顕著でなかった。そこで、センダイウイルスのエンベロップに封入する手法を用いてキャリヤーと遺伝子の複合体を細胞へ導入する手法を検討したところ、細胞内に導入が可能であり、しかも、細胞を薬物刺激してAキナーゼを活性化させたときにのみ、遺伝子を発現させることに成功した。 また、これらの基質や細胞内のAキナーゼ活性を評価するための独自のアッセイ系を確立した。 カスパーゼ3に応答するキャリヤーについては、高分子鎖の疎水性、及び、ペプチド配列の荷電や生化学的性質を種々変化させた様々なキャリヤーを開発し、その遺伝子発現制御能と細胞導入効率を検討したところ、疎水性を向上した高分子では、単純なカチオン性ペプチド配列であっても細胞へ導入されるが、親水性高分子では、導入するペプチドに膜透過能が必須であった。また、遺伝子制御能は、多くの組み合わせで問題なく見られたが、カチオン部位がオリゴアルギニンでのみ、タンパク合成系に対する毒性が見られた。また、細胞へ導入されたキャリヤー-遺伝子複合体は、いずれも細胞内でもカスパーゼ3により遺伝子発現制御が可能であった。
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