研究課題/領域番号 |
15300168
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
名倉 武雄 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90306746)
|
研究分担者 |
大谷 俊郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00160531)
松本 秀男 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (50138038)
戸山 芳昭 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40129549)
須田 康文 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20196900)
|
キーワード | 生体工学 / 膝関節 / 靭帯損傷 / 前十字靭帯 / 関節負荷 |
研究概要 |
初年度の研究として、まず前十字靭帯損傷患者(以下ACL患者)と健常者間の動作の相違を評価した。3台の特殊カメラおよび床反力計よりなる3次元動作解析装置を用いて、2種類のサイドステップ中の膝関節負荷および下肢の動態を計測した。対象はACL患者16名および健常者24名とし、患者は全例徒手検査とMRIにて診断し疼痛腫脹の強いものは除外した。計測前にそれに伴う危険等につき十分な説明を行い、同意を確認後計測を行った。被験者には、2歩前方助走後のサイドステップ(前方カット)と2歩後側助走後のサイドステップ(後方カット)の2種類の動作を指示し、120Hzで計測した。ACL患者では前方カット中の膝屈曲角度、toe out angle、膝前後方向の外力および膝屈曲モーメントが健常者に比べ減少していた。また後方カット中は、ACL患者で膝屈曲角度が減少する傾向を示したがtoe out angleや関節負荷には差がなかった。ACL患者はスポーツ動作、特に方向転換する動作で不安定感を訴えることが多いが、そのメカニズムについては不明な点が多い。今回の検討では、2種類のサイドステップ動作においてそれぞれACL患者に特徴的な動作が認められていた。特に前方カットでは、膝を伸展すること、つま先を外側に向け接地することが明らかとなった。膝を伸展することは、膝関節の接触面積を増大させることや、地面からの前後方向の力を減少させる効果があると考えられる。また、つま先を外旋することで、膝にかかる回旋力を調節していた可能性がある。これはいずれも靭帯損傷による不安定性を回避しようとする代償的動作であると考えられた。現在の3次元動作解析装置は使用するマーカー数が少なく、このため膝関節の回旋を含めたより詳細な解析が不可能である。今後は現在開発中である、多数のマーカーを使用した新しい計測手法(群点分析法)を用いて、より詳細な解析を目指す。
|