研究課題/領域番号 |
15300169
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
中山 淑 上智大学, 理工学部, 教授 (00053653)
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研究分担者 |
鈴木 彰文 上智大学, 理工学部, 助手 (00221317)
藤井 麻美子 上智大学, 理工学部, 講師 (20173396)
小関 健 上智大学, 理工学部, 教授 (40245791)
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キーワード | 近赤外光機器 / 拡散反射型光CT / 単純正則化Moore-Penrose一般逆行列 / 空間分解能 / 再構成画像ノイズ / 3次元再構成 / 正則化パラメータ / 逆問題 |
研究概要 |
近赤外光機器の代表的な実用機器の一つに、頭部に装着して大脳皮質の賦活による血中ヘモグロビンの酸化還元状態などを観測するものがあるが、これによって得られる情報は2次元的なトポグラムに過ぎず深さ方向の分解能がないために皮膚血流とその奥にある目的の組織の血流とを区別することはできない。本研究ではこの点に注目し、体表に2次元的に光源、検出器を配列させ拡散反射光を計測し、深さ方向にも分解能を有する循環機能情報を毎秒数フレーム程度で画像化して提供する装置の実現可能性を実験的に示すことを目標とする。 そこで、本年はまず実験的研究の足がかりとして拡散反射型光CTの理論的研究を行った。逆問題を単純正則化Moore-Penrose一般逆行列で定式化した本手法では空間分解能と再構成画像ノイズとの折り合いを考慮して適切な正則化パラメータを選択することが重要である。そこでシミュレーションを行い、空間分解能と再構成画像ノイズを定義した。解析の結果、空間分解能と再構成画像ノイズのそれぞれにおける深さ依存性と正則化パラメータへの依存性を確認した。つまり深くなるほど、正則化されるほど空間分解能は悪くなり、再構成画像ノイズは小さくなると考えられる。この空間分解能と再構成画像ノイズとの折り合いをまとめることで、3次元再構成の性能を示した。 さらに再構成範囲が一定であれば、拡散反射型光CTにおける本質的な性能は分割数によらず測定系によって決まることを確認した。以上のシミュレーション結果から、与えられたS/Nで得られる空間分解能が決まり、それを満足するように再構成範囲を分割することによって無駄な計算を省くことができる。このように実際の拡散反射型光CTを設計する際には、現在までの理論的研究で得られた3次元再構成の性能の評価指標が非常に重要な役割を担う。 今後は現在までの理論的研究で得られた3次元再構成の性能の評価指標を基に、実験的研究を行う計画である。
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