研究課題/領域番号 |
15300170
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
寺田 弘 東京理科大学, 薬学部, 教授 (00035544)
|
研究分担者 |
牧野 公子 東京理科大学, 薬学部, 教授 (40147509)
小島 周二 東京理科大学, 薬学部, 教授 (90119579)
池北 雅彦 東京理科大学, 理工学部, 教授 (70138981)
杣 源一郎 徳島文理大学, 健康科学研究所, 教授 (00158990)
篠原 康雄 徳島大学, ゲノム研究センター, 教授 (60226157)
|
キーワード | 結核 / 肺胞マクロファージ / 貪食 / 薬物送達システム(DDS) / ポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA) / 結核菌 / NR8383細胞株 / リファンピシン |
研究概要 |
我々は、肺胞マクロファージに貪食されながらも、マクロファージ内で消化されずに生存し続けている結核菌に対して有効な製剤を開発し、その作用を明らかにすることを試みた。その結果以下の成果を得た。 1)マクロファージに貪食されやすい製剤として、基剤にポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)を用い、これに抗結核薬であるリファンピシン(RFP)を含有させた微粒子をスプレードライ法にて調製した。 2)この製剤粒子に対する肺胞マクロファージ(ラット肺胞マクロファージ由来細胞株NR8383)の貪食能を種々の条件下において調べた。その結果、貪食活性は、マクロファージ細胞当りの添加粒子数によって大きく変化したが、一般的には添加粒子数が多くなるに従って貪食活性は増加した。また、貪食活性は約4時間程度で最大値に到達した。さらに、マクロファージが貪食しやすい製剤粒子の大きさは約3μmであった。 3)製剤粒子を貪食したマクロファージは、貪食することによってその活性を増大することが明らかになった。すなわち、一定時間RFP含有PLGA微粒子製剤をマクロファージに貪食させ、その後ポリスチレンラテックス(PLA)に対する貪食能を測定したところ、いずれの条件下においてもマクロファージのPLAに対する貪食能が増大した。この場合、PLGA微粒子製剤を貪食していないマクロファージのPLAに対する貪食能は、PLGA微粒子を貪食した他のマクロファージの影響を受けて、増大していることから、貪食に伴いマクロファージからある因子が放出され、これによって未貪食のマクロファージの貪食活性が増大したものと考えることができる。この因子に関しては同定中である。 4)微粒子製剤のマクロファージ内への移行は、ファゴソームの形成、それに引き続くファゴソームのリソソームとの融合(ファゴリソソームの形成)のプロセスを経るはずである。PLGAに含有されたRFPがどのようにしてマクロファージ内の細胞質中に放出されるかの機構は、RFPの作用機構を知るうえで重要である。研究の結果、PLGAは、ファゴリソソーム内へ移行することが明らかになった。ファゴリソソームからのRFPの放出の機構を研究中である。 以上の結果から、本年度に予定していた研究は計画に従って実行されたことになる。
|