研究課題
基盤研究(B)
本研究では、人工赤血球や人工血小板の開発で集積してきた知見を利用して、これらナノ粒子の表面にレセプター蛋白質やペプチドあるいは糖鎖などのリガンドからなる認識部位を簡便な方法にて担持させてインテリジェント化させる方法を確立し、治療に有効なナノ粒子の構築を目指す。平成15年度では、2本鎖を持つアミノ酸型脂質を量合成し、これを固相合成法によりオリゴペプチドやオリゴ糖にコンジュゲイトする方法を検討し、2本鎖、4本鎖を持つポリエチレングリコール(PEG)脂質を得た。更に、片末端マレイミド基、もう片末端スクシンイミド基を持つPEGから、官能性PEG脂質を量合成した。また、ジスルフィド結合にてアルキル鎖を連結して膜貫通型としその末端にマレイミドPEGを結合したPEG脂質も得た。次に、生理活性物質であるリポポリサッカライド(LPS)を吸着させたリポソームについて、LPSを界面活性剤を用いて定量する方法の詳細な検討から、リポソームへLPSの界面移行現象に関する知見を得た。平成16年度では、これらのマレイミドPEG脂質をリポソームの表面に界面移行法によって導入し、そこで分子量の異なる蛋白質(Lactalbumin(分子量:14kDa)、rHSA(66.5kDa)、IgG(150kDa)、Ferritin(460kDa)、Thyrogrobulin(670kDa))を結合させて、リポソーム表面から遊離(界面移行)する速度を解析した。その結果、PEG脂質のアノキル鎖の数、長さ、そして蛋白質の分子量との間にきれいな相関が得られた。また、リポソーム表面に認識分子(やオリゴペプチド)を担持させ、さらにPEG鎖にて修飾すると、その認識機能はPEG鎖によってマスキングされる。しかし、PEG脂質が表面から遊離(界面移行)すると認識部位が露出して機能発現のスイッチングされる現象を明らかにした。以上の結果から、リポソーム表面を修飾するPEG脂質や蛋白質結合PEG脂質が遊離することにより体内動態が制御できる薬物運搬体が開発できた。
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すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (10件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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