研究概要 |
本年度はシステム構築に重点をおき、心筋組織代謝機能評価のためにNADH蛍光分布のみでなくエネルギー代謝の源であるミトコンドリア分布イメージの、評価基準となる血流分布計測を行った。心筋組織代謝機能イメージングユニットはNADH蛍光分布(自己蛍光、励起光:370nm,蛍光460nm)、ミトコンドリア分布(Rhodamine蛍光、励起光:500nm,蛍光:540nm)、PO_2分布(Pd-porphine燐光,励起光:545nm,燐光:610nm)のイメージングをおこなうもので、とくに励起光源に高輝度LEDを用いて、フィルタによる光量のロスの低減をはかり、かつ励起波長の選択を容易にすることを試みた。時分割同時計測ユニットを用いて、3つの蛍光を同時計測するために、励起光源に発光ダイオードを用いた、コントローラについて検討し、その有効性を確かめた。本ユニットにより光源の切り替えにより、励起が容易になり、実用レベルでの同時計測が実現できるものと推察された。なお、それぞれ10msごとに励起し、おのおのの蛍光を観測する。PO_2評価には、従来のPd-porphine燐光の消滅時定数の直接計測にかわって、撮像ゲート制御を行った燐光積算量による評価法を導入した実時間イメージング法を考案した。コントローラの試作を行い、基本動作を確認した。そして、撮像方式について特許出願を行った。さらに、これらの代謝イメージと比較検討するための血流分布イメージの計測、解析を併せて行った。対象は臨床応用が期待されている人工血液灌流時の局所心筋について血流分布イメージングを行い、正常時、低酸素時の状態の相異を明らかにし、代謝イメージングとの比較対照となる血流イメージの特徴を明らかにした。
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