研究課題
基盤研究(B)
本研究はSpring-8の放射光を用いて、摘出心筋および丸ごとの心臓におけるアクチンとミオシンの相互作用の1心周期内での経時的解析を目的とした。高輝度放射光施設(Super Photon Ring 8 GeV : SPring-8)に既設の装置を使用し、BL45XUにX線エネルギー12.4keV;波長1Aの小角散乱のセットアップを組んだ。X線回折像の記録には、X線イメージインテンシファイアと冷却CCDカメラを用いた。心室の撮影にはBL45XUよりX線エネルギーの高いBL40XUを使用した。カメラ長は3mとし、X線エネルギーは16keVとした。X線強度はフロントエンドスリットの幅により適切な水準に制御した。サルコメア長はレーザ回折サルコメア長計測装置により計測し、アクチン・ミオシンの側方間隔と対比し分子レベルとミクロレベルの統合性を検討した。ラットの右室乳頭筋の摘出潅流標本に放射光を照射して赤道反射を得た。それの(1,0)/(1,1)比からミオシンヘッドのアクチンヘの移動量(クロスブリッジ形成量)を計測した。等尺性収縮および等張性収縮でサルコメア長の変化および後負荷の変化によりアクチン・ミオシン分子間の相互作用がいかに変化するかを明らかにした。また、等容性収縮を行っているランゲンドルフ灌流心の心室壁各部位にX線を照射して、X線回析像を得た。等尺性収縮では心筋長の長いほど、ミオシンヘッドのアクチンヘの移動量は多かったので、クロスブリッジ形成量がStarlingの心臓の法則の分子的基盤であることが明らかなった。等張性収縮でも、発生張力が大きいほどクロスブリッジ形成量が大きかった。しかし、後負荷水準がある量より少ないと等尺性収縮時の同一張力発生時よりミオシンヘッドの移動量が少ないと言う興味ある所見が得られた。一心周期内の等容収縮心における発生圧はミオシンヘッド移動量と同一方向の変化を示した。心室壁への照射による回折像は内壁側、壁中央、外壁側で異なり、丸ごとの心臓における1心周期内の分子配列を解析可能であった。
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Spring-8 User Experiment Report No.14(2004B)
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