研究課題
本研究では、人工角膜実質、人工角膜のデバイス化を実現をめざし、透明な高分子材料に、生体親和性と組織接着性を付与し、長期間にわたって安定に機能する、角膜実質代替材料の開発およびそのデバイス化の研究を行った。本年度は、動物由来角膜細胞を用いた細胞系を用いて、材料表面上での形成した多層化角膜上皮の長期安定性向上を目指して材料改良する研究を行うと共にデバイスへの組み上げ実験及び基礎的な動物試験で有用性を検証した。ピリジンユニットの多点吸着によって長期安定な基板修飾を可能とするPEG-ポリピリジングラフト共重合体を合成した。窒化シリコン基板表面にDNA、ペプチド、蛋白質などの生体分子を固定化する方法の最適化を行い、x線光電子分光(XPS)などを用いて分子配向性に関する研究を推進した。アミノシラン、チオールを末端に有する界面分子を用いて生体分子を固定化し、同時角度分解XPSにより表面からの深さ方向の情報を取得することにより、機能性界面分子の配向性を評価することができた。人工角膜上の上皮の安定性を向上させるために、PVAを用いてエレクトロスピニングを行いナノファイバー不織布を作製し、物理的なアンカリングの効果が上皮の安定性に寄与するか検証を行った。その結果、通常の接着蛋白固定化ゲル表面では培養が長期になると上皮がシート状で剥がれる減少が観察されたが、上記手法で作製した表面粗さが大きく、細胞との物理的なアンカリング効果による接着力の向上が期待される、接着蛋白固定化ナノファイバーシート上では、長期間に渡り安定に上皮が接着進展維持されることが判明した。また、ナノファイバーシート上の上皮も多層構造をとり、接着のみならず分化状態も維持される事が判明した。合成材料を用いた人工角膜上の上皮形成とその安定化に表面の形態が大きく影響する事が示唆され、生体内で長期間安定に機能する人工角膜の光学部分の設計にたいする大きな指針が得られた。また、人工角膜を組織と強固に接着させるためのHAp-PVA複合体辺縁部分を家兎を用いて検討を行った。微細加工により作製した鋳型を用いて200ミクロンサイズの規格化したマイクロポアを有するHAp-PVA複合体を家兎角膜マイクロポケット法を用いて検討した結果、マイクロポア内への組織侵入とアパタイトとの複合化に伴う血管の侵入が認められた。この結果から、ホスト組織へのデバイスの強固な固定が実現されることが期待される。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (24件) 図書 (5件)
Biomaterials 26
ページ: 1247-1252
Eur.Cell & Mater. (In press)
J Biomed Mater Res B Appl Biomater. 76(1)
ページ: 56-63
J.Nanosci.Nanotech. (In press)
Biomaterials, 26(15)
ページ: 2273-2279
Tissue Eng 11
ページ: 1650-1657
ChemBioChem 6
ページ: 703-710
Journal of the American Chemical Society 128
ページ: 390-391
ケミカルエンジニアリング 50
ページ: 508-514
マテリアルインテグレーション 18
ページ: 50-54
Bioclinica 20
ページ: 32-36
IEEE EMBS
ページ: 215-218
Biomacromolecules 6(2)
ページ: 818-824
Japanese Journal of Applied Physics 44
ページ: 2860-2863
Biosensors and Bioelectronics 21
ページ: 827-832
Bioindustry 23(1)
ページ: 23-30
British Journal of Ophthalmology 89(2)
ページ: 134-137
Journal of Biomedical Materials Research : Part B - Applied Biomaterials 73B(2)
ページ: 375-382
Biotec.Bioeng 92
ページ: 410-415
ページ: 2854-2859
応用物理 74
ページ: 1555-1562
Key Engineering Materials vols.288-289
ページ: 449-452
Anal.Chem. 77(4)
ページ: 1075-1080
高分子論文集 62(2)
ページ: 81-86