研究分担者 |
黒木 速人 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(常勤形態) (00345159)
鈴木 康夫 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40221329)
伊福部 達 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (70002102)
中野 聡子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(常勤形態) (20359665)
福島 智 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (50285079)
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研究概要 |
本研究の目的は,バーチャルリアリティやウェアフブルコンピユーティングなどのヒューマンインタフェース技術を効果的に導入し,聴覚障害者の情報保障のためのオルタナティブな感覚代行システムを開発することにある.その開発は,生理学や心理学を含む基礎研究から障害当事者の臨床評価に至るまで,医工連携かつ文理融合の総合的な研究体制の下で進めている. 本年度は,開発の対象とする3つの聴覚障害者向けコミュニケーション支援装置の設計に必要な仕様や利用ガイドラインを得る基礎実験を中心に進めた. まず,携帯型自動筆談装置と自動字幕システムに関しては,使用する高臨場感ディスプレイの安全な利用法のガイドラインづくりの観点から,HMD (Head-Mounted Display)とメガネなし3D液晶ディスプレイを長時間使い続けた場合の生体影響について調べた.その結果,HMD(2D映像)では,1〜2時間程度では影響はないが,4時間の連続映像負荷では視機能の調節応答速度に低下が生じることを確認した.また,メガネなし3Dディスプレイ(3D映像)では,30分の映像負荷で同様な変化がみられ,2Dに比べて影響の大きいことがわかった.なお,どちらも一過性の影響であり,刺激停止後60〜90分で調節力は回復したさらに,このような視覚疲労により,鉛直方向に対する主観的な偏位量が増大する場合のあることを心理物理実験により確認した. 携帯型タクタイルエイドの基礎研究に関しては,圧電バイモルフ素子を利用した携帯型触覚ディスプレイ(64ピン)の最適設計のために精密な指先皮膚力学モデルを構築した.その結果,触覚による情報伝達に重要である500Hzまでの振動領域で,振幅・位相特性をフラットに保ち,指先の押し付け力や被験者の皮膚機械インピーダンスの違いによる影響を受けにくい,音声情報呈示の触覚ディスプレイの設計仕様が得られた。他方,この触覚ディスプレイは音声速度調整ジョグダイヤルと組み合わせると,視覚障害者の視覚代行ツールとして,インターネット閲覧などで重要なリッチテキスト情報を効果的に呈示できることを明らかにした.
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