研究概要 |
平成17年度は、健常人と脳卒中片麻痺患者を被検者にして、以下の2つの研究を主に行った。 1.昨年度健常者を対象にストレングスエルゴを用いた18秒のウインゲートテストを行ったが、被検者のテスト施行状況より、不整脈等の発症リスクを軽減するため、脳卒中片麻痺患者では更なるテスト時間の短縮が必要と考えられた。そこでテスト時間短縮の妥当性の検討性を検討した。平均年齢47.5歳の13名を対象に施行した18秒のウインゲートテスト結果から、ランプ負荷終了後の12秒間の平均パワーと(1)テスト開始から5-6秒の1秒間における平均パワー、(2)テスト開始から6-7秒の1秒間における平均パワー、および(3)テスト開始から6-9秒の3秒間における平均パワーとの級内相関係数を求めた。その結果ICC(3,1)はそれぞれ、0.74、0.78、0.85となり、いずれの場合も有意な相関が得られた。 2.脳卒中患者を対象に、ウインゲートテスト施行におけるOptima設定の検討を行った。被検者は、14名の片麻痺患者で(男11名:女3名、脳梗塞9名:脳出血5名)、平均年齢は60.4±10.6歳であった。前年度の健常者を対象とした研究結果より、当初運動負荷量のOptimaを体重比0.6で設定したが、その負荷ではエルゴメータを漕げない被検者が多く、そのため被検者ごとに50rpmでの最大下肢筋力を測定し、非麻痺側の筋力をもとに無酸素性閾値である最大筋力の12%の約2倍にあたる25%に負荷値を設定して、6秒間のランプテストを施行した。その結果設定負荷値に6秒間で達することができた患者がおらず、ウインゲートテストにおいて、ランプ負荷終了後一定の等張性負荷を与えるためには、Optimaを最大筋力の15%に設定することが妥当と考えられた。また片麻痺患者において、テスト開始から5-6秒の1秒間における平均パワーの再現性を級内相関係数で検討した結果、ICC(1,1)は0.98であった。
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