研究概要 |
18年度は、片麻痺を対象としたウインゲートテストの信頼性と無酸素性パワーと短時間のパフォーマンスとの関連性(妥当性)の検証に関する研究を行った。 被験者は、脳卒中片麻痺患者21名(男性13名、女性8名)で、年齢は56.9±9.9歳、体重は63.6±12.3kg、麻痺側は右10名、左11名、下肢のBrunnstrom stageはIII:4名、IV:5名、V:9名、VI:3名であった。 2回のテストにおける運動開始後6秒から9秒までの3秒間の定常負荷時の平均パワーの再現性を、級内相関係数で検討した結果、ICC(1,1)は0.97であった。 種々の項目をもとに変数選択-重回帰分析(Stepwise regression)を行い、至適負荷量をより的確に決めるための回帰式の作成を試みた。各被験者が6秒間のランプ負荷期間の最終段階で到達できた負荷量の1.1倍の設定負荷量を目的変数とし13項目を説明変数とした。その結果では、ストレングスエルゴによる非麻痺側最大脚伸展トルクが有意(p<0.0001)に選択され、決定係数R^2=0.718であった。そこで設定負荷量と非麻痺側最大筋力の2変量の関係に焦点を絞り、最も適合度が高い回帰式を検討したところ、非麻痺側最大脚伸展トルク(x)から至適設定負荷量(y)を求めるには2次回帰式が最も適合度が高いことがわかり、その関係式として、y=4.003+0.045x+0.002x^2(決定係数R^2=0.748)が導き出された。 11名の被験:者を対象とした短時間のパフォーマンスとの関連では、5回連続の立ち上がり時間の平均は7.2±1.8秒で、平均パワーとの相関はr=-0.659 p=0.025で、統計学的に有意であった。一方10m最大速度歩行時間の平均は9.8±7.6秒で、平均パワーとの相関はr=-0.295p p=0.389で、統計学的に有意ではなかった。
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