研究概要 |
ヴァーチャルリーアリティの仮想空間ハンドによる電動義手制御システムとして、ステレオシャッタ方式グラスを用いた3次元立体VICONデータ再生システムを開発した。また、本研究で作成したプログラムを用い、ヒトの空間定位能力の測定を、実空間に仮想空間と同一の空間を有する模型を作成し、実空間の模型内に配置した球位置を、被験者がプログラム内に表示された球をコンピュータマウスにより移動させ測定した。その際仮想空間に提示する対象のみの場合、実空間に指標物体を追加した場合、仮想空間の対象を仮想ハンドが把握した場合でヒトの定位能力に与える影響を調査した。測定時の球位置はモニタ表示部左下隅を原点とし、水平方向に150,200,250mm、垂直方向に100,150,200mm及び奥行き方向に0,±100mmへ配置した。'その結果、水平方向では、モニタ左端から水平方向に150mm及び200mmに球を配置した場合で距離が離れるにつれその誤差は有意に大きくなり、垂直方向では、全ての球位置で距離が離れるにつれその誤差は有意に大きくなり、ヒトの定位能力は被験者から対象までの距離が500,600,700mmと離れるにしたがって有意に低下し実空間の球位置との誤差が大きくなった。また、「球+指標」の条件は他の条件に対し水平方向の誤差は、モニタ左端から水平方向に200mmかつ、モニタ下端から垂直方向に100mm及び150mmに球を配置した場合を除き有意に誤差が小さくなったが、垂直方向の誤差はモニタ下端から垂直方向に200mmに球を配置した場合でのみ有意に誤差が小さくなり、ヒトの上下定位能力は左右定位能力に対して対象が移動した際の誤差変化が小さかった。実空間に指標物体を配置した場合、球のみの場合に対し有意に左右定位能力が向上した。
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