研究概要 |
本年(平成15年)度は、神経性拘縮動物モデルの作成及び採取した組織に含まれる既知遺伝子の定量的評価を行った。 (1)神経性拘縮モデルの作成:9週齢の雄のWistar Ratに、左坐骨神経切断処置を施した。右側は処置をせず、コントロールとした。処置後30〜90日、動物実験施設で飼育し、観察したところ、ラットの下腿三頭筋は処置後30日で著明に萎縮し、膝関節は屈曲位で伸展制限(関節可動域制限)を認めた。このことから、処置を施したラットを神経性拘縮モデルとして用いることが妥当と判断し、以下の実験を行った。 (2)神経性拘縮モデルラットを用いた、既知遺伝子の定量的評価:(1)で作成したモデルラットの両膝関節軟骨を処置後30、60,90日に採取し、mRNAを抽出した。このmRNAを逆転写反応させcDNAに合成後、既知遺伝子の定量を目的としたLight Cycler quick system 350s(Roche Diagnostic)を用いてPCR反応させる定量的RT-PCR法を行った。今回は関節軟骨に含まれる主な細胞外基質であるtype II collagenとaggrecanの遺伝子発現量を、抽出したmRNAについて測定した。 (i)type II collagen遺伝子発現量は、処置側、対照側ともほぼ経時的減少傾向をみとめた。処置側の遺伝子発現量を対照側と比較した場合も同様の結果が得られた。 (ii)aggrecan遺伝子発現量は、対照側で経時的増加傾向を呈した。処置側の遺伝子発現量を対照側と比較した場合、経時的減少傾向を認めた。 次年度は(1)で確立した神経性拘縮モデルラット膝関節の組織学的検討を行い、今年度得られた結果及び先行報告を踏まえて研究する予定である。
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