研究概要 |
本研究では,被訓練者一人一人の訓練効果の定量的評価,訓練メニューの作成支援の実現に向けて,被訓練者の上肢の生体状態(障害状態)を収集,評価し,その結果をロボットアーム動作にフィードバックできる支援システムを構築することを目的としている.平成17年度の成果を以下に示す. (1)昨年度設計したパラレルリンクを用いた3次元リハビリ訓練支援システムに対して,制御系のハードウェアの構築と制御アルゴリズムの開発を行い,作業療法として広く行われている双腕・単腕サンディング訓練を可能とした.そこでは,生体情報計測システムの組み込み,また訓練作業の目標軌道からのずれを戻すといった簡易モーションアシストのためのアルゴリズム開発を行った. (2)身体運動とロボットアームの動作との親和性の向上の目的から,身体運動に適合したパワー・モーションアシストを実現するロボットシステムの制御アルゴリズムを検討するために,本研究では,現場で広く行われているサンディング訓練において,上肢関節ならびに体幹の位置計測に基づく上肢身体運動パターンの生成分析を健常な大学院生を対象に実施した. (a)治療効果の一つである体幹,肩,上腕,前腕の協調性の回復に着目した上肢運動解析を行い,ニューラルネットワークを用いた健常者の運動モデルを作成した.抵抗運動の負荷の違いと運動軌跡との相関など種々の知見を得た. (b)患者の症状や症例毎のモデル構築のための準備として,協調性に着目したモデル分類法を提案した.提案法はニューラルネットワークとクラスター分析を併合した手法であり,健常者の個体差の分類にも効果的であることを検証した.
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