研究概要 |
本研究では,被訓練者一人一人の訓練効果の定量的評価と訓練メニューの作成支援の実現に向けて,被訓練者の上肢生体状態を収集,評価し,その結果をロボットアーム動作にフィードバックできる訓練支援システムの構築を目的とする. 1.3次元運動の上肢作業療法を可能とする3次元リハビリ訓練支援システムの開発 (1)汎用7自由度ロボットアームを改良することで,座位での様々な3次元机上作業の訓練に対応する訓練装置を構築した.作業療法として広く行われているサンディング訓練とモーションアシストを実現した. (2)医療現場への試験的導入を想定し,パラレルリンク機構を採用した可搬性に優れた3次元訓練システムを開発した.サンディング訓練のみならず種々の訓練とモーションアシストを実現した. 2.上肢身体運動パターン生成分析のための上肢運動解析 (1)現場で広く用いられているサンディング器具を用いた訓練時の上肢動作解析を行った.治療効果の一つである運動の協調性の回復に着目し,各関節の運動軌跡や速度波形に注目して特徴抽出を行い種々の知見を得た.また,患者の症状や症例毎のモデル構築のための準備として,ニューラルネットワークとクラスター分析を併合したモデル分類法を提案した.健常者の個体差の分類にも効果的であることを検証した. (2)1.(1)の訓練システムを用いた訓練動作において,2.(2)では行えなかった訓練グリップに与える力と位置の計測に基づく上肢運動解析を行った.負荷抵抗訓練における単腕訓練と双腕訓練の違いと利き腕との関係など種々の知見を得た. 3.視覚フィードバックによる訓練法の提案 リハビリの現場に科学的根拠に基づく医療行為の導入が望まれている背景から,訓練中の被験者の身体動作を記録し健常者との動作と同時に映し出せる視覚フィードバック機能を提案し,そのためのシステムを構築した.
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