研究概要 |
1.等尺性CKC筋収縮におけるEMS作用の解析 大腿四頭筋評価訓練装置にKistler床反力計とToMoCo-FP(東総システム)を用いてビデオ映像と足部反力が合成できるシステムを製作し解析を行った。最大筋力によるレッグプレス動作において同時に電気刺激による筋収縮(electric muscle stimulation)を付加する手法で、通常では行われない筋収縮パターンを形成して足部の出力を計測した。大腿直筋の刺激ではつま先方向に出力が変位し、ハムストリングの刺激では踵方向に出力が変位した。出力の大きさはともに低下した。2関節筋の収縮は足部出力方向を大腿直筋はつま先方向へ、ハムストリングは踵方向へ誘導する働きがあり、これらの筋群にEMSによる刺激を適切に加えることによって、下肢のCKC出力を任意の方向へ誘導することが可能であることが判明した。 2.培養神経細胞による最適な電気刺激の検討 神経の興奮伝達は、神経細胞から神経細胞または筋等へ電気を介して行われている。アセチルコリン等の神経伝達物質は、シナプスにおいて細胞に電気的変化を引き起こすことで、その働きがなされる。一方、神経の成長や再生は神経成長因子の働きでなされる。今回我々は、ラット副腎髄質褐色細胞腫由来の神経細胞であるPC12変異細胞に直接電気を与え、その変化を調べた。電源装置はNicolet Viking IV筋電計を使用し100mA,1Hzの刺激条件で30分間細胞に電気刺激を与えたところ、神経再生を50倍も促進することを見いだした。さらに分子レベルで分析したところ、電気は脳の損傷からの回復や神経可塑性に働くCREBという転写因子を活性化することで、神経再生に働くことが判明した。
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