研究課題
基盤研究(B)
本研究では、心身症・精神障害患者および健常者を対象として、生態学的・経時的測定装置を用いて身体活動、心身症状、認知機能の測定を行い、気分や各疾患の特徴を抽出可能とする身体活動パターンの解析法および評価指標の開発を行った。その結果、以下の知見が得られた。(1)慢性疲労症候群患者調査身体活動時系列の変動の方向性を考慮に入れた評価法の開発を行った。身体活動時系列が負の方向に変動する場合(身体活動の急激に中止する時点)のみを抽出して局所相関を求めた結果、慢性疲労症候群患者では約5発から35分までの時間スケールにおいて健常者に比べて有意に長期相関性が弱いこと、すなわち急激な動作停止が起こることが示された。(2)健常中学生調査(1)健常な中学生においては、日中に比して夜間に多動傾向がみられる場合では、心身症状の訴えが多くなる傾向がみられた。(2)日中に複数回実施された各テストの30分前の身体活動時系列より求めた各種指標と、気分・疲労感には有意な相関関係がみられた。(3)「疲労」の程度を身体活動時系列の統計量から推定するための重回帰モデルを構築した結果、局所平均値・局所トレンド周りの負の歪度(これも急激な動作停止と関連する)、平均値およびそれらの交互作用において有意な結果が得られた。(3)大うつ病患者調査測定期間中の身体活動データより求めた平均活動量を連続して下回っている継続時間(休止期間)と連続して上回っている継続時間(活動期間)の累積分布関数を導出した。その結果、休止期間の累積分布関数は健常者、大うつ病患者共に約2分から200分にかけてべき分布に従い、大うつ病患者では健常者よりも長期休止期間の分布度数が大きいことが示された。また、べき指数αは、健常者(α=0.96±0.14)と大うつ病患者(α=0.75±0.17)で有意な差がみられた。一方、活動期間の累積分布関数はべき分布よりも指数分布に近い形状を示し、大うつ病患者と健常者には有意な差は見られなかった。本研究の結果により、疲労やうつ気分といった幅広い心身症・精神障害で見られる症状に対応する客観的兆候として、身体活動が休止する局面でのダイナミクスに着目した統計指標を抽出できる可能性が示された。
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