研究分担者 |
侘美 靖 北海道文教大学, 人間科学部, 助教授 (90279472)
井瀧 千恵子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (00285008)
渡辺 明日香 北海道大学, 医学部, 助手 (90281831)
河口 明人 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (70214608)
山本 徹 北海道大学, 医学部, 教授 (80261361)
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研究概要 |
情動を最適化できる個々人に適切な運動の一つとして「快適自己ペース運動(CSPE)」に着目した。CSPEは快適であるという主観に基づいて運動負荷量をきめて遂行するものであり,運動を継続し易いと考える。本年度は青年男性を対象として,1回のCSPEが感情・脳機能・体温・免疫能に及ぼす影響,さらにCSPEを3ヶ月間継続する群としない対照群の2群を設定し,CSPEを継続する効果を検討した。 実験(1)CSPE(対照)実験:対象者各自が快適と感じる負荷量で自転車エルゴメーターを20分間こぐCSPE実験と安静時の心拍数と年齢から個々人の50%心拍予備率(HRR)を計算し,その値を目標心拍数として20分間自転車をこぐ50%HRR実験(対照)で構成した。1実験は安静20分間,自転車運動(CSPEまたは50%HRR)20分,回復30分間を夕方に行った。実験(2)f-MRI:実験1の対象者から被験者を募り,20分間のCSPE(自転車エルゴメータ)の前後の安静状態でタスクを与えて測定した。実験1と2は継続運動開始前に1回目実験を8月に行い,その後2群に分けて,CSPE継続3ヶ月後の12月に2回目実験を行った。CSPE実験で自転車エルゴメーターを快適にこいだ時,快感情得点は運動中から有意に増加し,CSPE終了後も維持された。リラックス感得点は運動中低下し,終了後に有意に増加した。また不安感得点はCSPE終了後に有意に低下し,感情に対するCSPEの心理的効果が確認された。CSPE時の前頭部脳波パワー値は,θ波,α波,β波ともに運動開始前に比べて高く脳の賦活が示唆された。f-MRIの結果からはCSPEによる大脳基底核の賦活が示唆されたが,個人差も大きいことから,その要因を今後検討する。3ヶ月間CSPFを継続した群では,対照群に比べて,CSPEとして選ぶ運動負荷量が大きくなる傾向が認められた。
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