研究概要 |
安静時エネルギー代謝量は、総エネルギー消費量の約70%を占め、肥満症の発症や内臓脂肪型肥満の形成と密接な関係を有することが指摘されている。本研究では、安静時エネルギー代謝量に影響する組織・器官として脳や肝臓、腎臓、骨格筋、骨、脂肪組織に着目し、レジスタンス・トレーニシグによるそれら組織・器官の変化と安静時代謝量との関係について検討した。中年女性および若年男性を対象に行なったレジスタンス・トレーニング実験の結果、トレーニング実施後約6ヶ月の時点では、磁気共鳴映像法(MRI法)で測定した骨格筋量に明らかな増加を観察したが、脳や肝臓、腎臓重量、あるいは二重X線吸収法(DEXA法)で測定された骨量に,変化は認められなかった。一方、一般男性と骨格筋が発達したスポーツ選手との比較研究から、肝臓や腎臓、骨の重量は骨格筋量の大小に比例して高まることが示され、両者の比率は両群でほぼ一定であることが明らかとなった。したがって、肝臓や腎臓、骨などの重量は短期間ではその変化を観察できないものの、骨格筋の増加が著しい場合にはそれらの重量も骨格筋の変化に比例して増加する可能性が示唆された。本研究では、各組織・臓器におげる重量1kg当たりのエネルギー代謝予測値と実測した各重量から安静時のエネルギー代謝量の推定を行ない、実測した代謝値との比較を行なった。その結果、両者には非常に高い相関関係が観察され、その関係はトレーニング後でも維持されていた。このことは、短期間のトレーニングでは、安静時エネルギー代謝量の変化は主として骨格筋と脂肪組織の変化に依存していることが示された。
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