研究概要 |
平成17年度はラットを対象として20日間の腓腹筋伸張性トレーニングを行った後,関節柔軟性の検討を行った. <目的> 伸張性トレーニング後の筋量あるいは発揮張力の変化は検討されているが,関節柔軟性の変化に関してする実験的検討は乏しい.本年度は伸張性トレーニング後の関節柔軟性の変化に関して我々が確立したラット足関節柔軟性評価系を用いて検討を行った. <方法> 対象は、Wistar系ラットオス(12週齢)34匹とした.これら被験動物の腓腹筋に対し,2日おきに5回4セットの伸張性トレーニングを20日実施した(EC群).コントロール群には等尺性トレーニングを同頻度,同期間実施した(I群).関節柔軟性の評価には平成14年度に本研究にて確立した評価系である静的トルク(関節角度を固定(45°以下PRT45)した状態での足底の反力)を用いた.同時に筋内細胞骨格タンパク質で骨格筋の静的張力と強く関係するとされているコネクチンのアイソフォームに関してもあわせて検討をおこなった. <結果> 20日間の伸張性トレーニングの結果,EC群はI群と比較して腓腹筋の筋湿重量および等尺性発揮張力ともに有意に高値となった.筋線維組成に関しても,EC群がtypeIIaが有意に高い割合で分布していた.PRT45を測定した結果,EC群が有意に低い値を示した.コネクチンのアイソフォームに関しては群間で差は観察されなかった. <考察> 等尺性トレーニングを行う場合と比較して伸張性収縮トレーニングを行うことにより,関節柔軟性は向上する.この変化は骨格筋内構造タンパク質の変化というよりは細胞外マトリクスの変化に起因するものであると考察される.
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