研究概要 |
【目的】 アンジオテンシンI変換酵素(ACE)遺伝子挿入(Insertion : I)欠損(Deletion : D)多型が加齢にともなう身体能力の変化に影響を検証する。 【方法】 無作為に抽出された72歳の高齢者600名のうち、2000年から2004年までの4年間、毎年実施した体力測定を完遂した190名(I/I型:77名,I/D型:85名,D/D型:28名)である。測定項目は膝伸展力、脚伸展パワー、握力である。 【結果】 初年度の筋力に遺伝子多型間で有意差を認めなかった。また4年間の膝伸展力(-7.83±14.15,-5.65±11.09,-11.04±14.68kg:それぞれI/I型,I/D型,D/D型;mean±SD)、脚伸展パワー(-80.8±155.2,-115.9±171.7,-105.6±126.3watts;それぞれI/I型,I/D型,D/D型)、握力(-2.42±4.27,-3.36±3.34,-3.54±3.54kg;それぞれI/I型,I/D型,D/D型)の経時的変化にACE遺伝子I/D多型間で差を認めなかった。この研究結果はACE遺伝子I/D多型が加齢にともなう身体能力の変化に影響を及ぼす因子でない事を明らかにした。 ACEノックアウトマウスに関する研究 Emory大学のDr.BernsteinよりアンジオテンシンI変換酵素(ACE)ノックアウトマウスの分与を受け、研究に使用できるよう現在クリーニングを行っている最中である。
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