研究概要 |
本研究の目的は以下の2つである. 1.10〜20年前に測定対象とした中高齢者の活力年齢を再度測定し,活力寿命を評価する指標を作成するためのデータベースを構築する. 2.ADL (activities of daily living)やQoL (quality of life)が顕著に低下した集団を擬似死亡群と定義し,活力寿命を評価する指標を提案する. 研究期間中に測定依頼および生存確認をおこなった対象者のうち,232名(男性78名,女性157名)の者のデータが分析可能であったことから全対象者と位置づけた.全対象者のうち,調査開始から2005年の時点で死亡の確認された者は,男性9名,女性3名,計12名であった. 本研究では"Lifespan Prediction Model"(寿命予測モデル:個人のからだ年齢と暦年齢の差から余命期間を推し量ろうとする考え方)が確立できることを研究仮説とし分析を進めた.主要な知見は以下の通りである. 1.心疾患や糖尿病などを保有していた場合,16年間で死亡した者は初期の段階ですでに活力度の劣ることが明らかとなった.さらに,貧血傾向でありHDLCが低く,敏捷性や全身持久性体力の劣るといった特徴が挙げられた. 2.10年という長期間にわたり運動を実践してきた循環器疾患患者は,運動を中断した疾患患者よりも活力度を良好に保持していることが示された. 3.上記の結果より,長期的な運動実践は,疾患を保持していたとしても身体的老化を抑制できる可能性を示唆し,さらに,活力度(特に貧血関連,脂質,敏捷性,全身持久性体力)のデータに基づき,将来の活力寿命および死亡を予測する指標作成(Lifespan Prediction Model)が可能かもしれない.
|