研究概要 |
本研究では,平成7年度から実施してきた研究成果をベースラインとして,自治体とも緊密な連係をとりながら,地域住民の健康づくり活動の展開を図り,介入研究を実施することをねらっている。人口の高齢化が急速に伸展している状況の中で,次々と発生する様々な問題に対処していくだけではもはや解決することは難しくなってきており,大きな発想の転換が必要となっている。そこで,不健康状態にある高齢者の健康問題を考えるだけでなく,健康づくり活動の積極的な展開により,現在日常生活で自立しており,まだ十分な活力を残している健康高齢者の健康の維持・増進を図ることによって,将来の老人医療費の高騰を抑制することが可能であるか否かについて検討することを目的としている。 今年度は,阿見町に居住している65歳以上の高齢者を対象に,健康に関連する生活習慣の状況と実際の健康状態を把握するため,質問紙による調査を実施した。この調査は,同様の集団を対象に追跡調査を実施したものである。調査対象者である65歳以上の高齢者の人口は7,800名であり,8年前に実施した時には約5,500名であったことから,高齢化が着実に進行していた。なお,自治体における個人情報保護条例の制定に伴い,調査対象者リストの提供を受けるための手続きが発生したことにより,自治体の審査委員会による審議,および町長と学長による協定書の締結など,様々な手続きに時間を要した。そのため,調査の実施が3月にまでずれ込んでしまった。したがって,今年度は調査票を発送するまでにとどまった。調査票の回収後,直ちにデータ解析を行い,生活習慣の違いによって健康状態にどのような差異が生じているかについて,詳細な検討を行う予定である。
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