研究概要 |
本研究では,平成8年および平成12年に実施した地域高齢者の健康調査のデータをベースとして,再度健康調査を実施し,健康状態の推移,および健康に影響を及ぼす関連要因の影響について探った。 健康調査は,茨城県阿見町に居住する65歳以上の高齢者7800名を対象に,平成17年3月に実施した。その結果,男性2197名,女性2701名,計4898名から回答が得られた。回収率は62.8%であった。疾病状況の推移をみると,何らかの疾病にかかっている者の比率は,平成8年には64.8%,平成12年には57.1%であったが,平成17年の調査では71.5%に増加した。また,健康度自己評価の推移をみると,「不健康」であると回答した者の比率は,平成8年には24.0%,平成12年には25.0%であったが,平成17年の調査では26.3%に増加した。健康に影響を及ぼす要因については,喫煙率が平成8年の23.4%から13.7%に低下し,「以前は吸っていたが現在はやめている」と回答した者の比率が増加している。また,定期的に運動をしている者の比率は,平成8年の32.8%から37.0%に増加するなど,生活習慣の状況は改善の傾向がみられた。しかし,一方で,睡眠時間が減少する傾向がみられるなど,以前よりも悪化した項目もみられている。これらのライフスタイル項目は生活習慣病のリスクファクターであり,健康状態とも密接に関連していることが明らかになった。高齢化の進展により疾病率が上昇したが,体力測定をはじめとする様々な健康づくり活動の介入により,参加者の健康状態が維持されており,これらの介入による医療費抑制効果が推定された。
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