研究課題/領域番号 |
15300246
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中井 孝章 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助教授 (20207707)
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研究分担者 |
山本 由喜子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (00174821)
畠中 宗一 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (10141855)
小伊藤 亜希子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助教授 (90257840)
山縣 文治 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (10159204)
上田 博之 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助教授 (70291599)
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キーワード | 食生活 / 家族関係 / 主食・主菜・副菜 / 栄養バランス / 高層住宅 / 子どもの自立 / 母子密着 / 都市開発 |
研究概要 |
第1に、大阪市24区の小学校4〜6年生、総計1679名(有効回答数)と、東京都の小学生4〜6年生、総計885名(有効回答数)に対する生活調査を通じて、子どもの食生活と家族関係の状態との関係について統計解析した結果、朝食の献立で主食と主菜と副菜あるいは主食と主菜をとっている子どもは、大阪市、東京都ともに、約50パーセントしかおらず、大都市圏の子どもは、朝、充分な食事をとっていないことがわかった。また、両者とも、パンを主食とする子どもが、50パーセントを超えたのに対して、ご飯を主食とする子どもは37パーセントたとどまった。また、10〜12パーセントの子どもは、菓子類や菓子パンを朝食としており、食生活の乱れが懸念される。一方、夕食で主食と主菜と副菜(「3つの器」)あるいは主食と主菜をとっている子どもたちは、80パーセント近くおり、夕食に栄養バランスのとれた食事をとっていることが判明した。その一方で、うどんやスパゲティなどの麺類を夕食とする子どもも22パーセントもいた。さらに、朝食・夕食ともにバランスのとれた食事をしている子どもたちの方がそうでない(=主菜がなかったり副菜がなかったりする)子どもたちよりも、家族関係が充実していて、食卓の雰囲気も明るいことがわかった。 第2に、住まい(高層住宅)と子どもの発達の度合い(自立のレベル)との関係について述べると、6階以上の住宅に住む子ども(3歳児)たちは、それよりも階下の住宅に住む子ども(3歳児)たちに比べて、自分で歯をみがく、服を着替える、ボタンを付ける、靴を履くなど、自立の度合いをはかるすべての項目において、レベルが低いということがわかった。従来、高層階に住む子どもはストレス過多、低体温、肺活量が少ない、アレルギー疾患をもつ、すぐ転んだりケガをしたりするなどと言われてきたが、今回の調査によって、自立面でも遅れていることが明らかになった。その理由として考えられることは、高層階に住むことにより外出する回数・機会が少なくなる(=閉じこもりやすくなる)ということ、外出が少なくなるため、密室で母親からの干渉を受けやすくなる(母子密着による育児障害)ということが挙げられる。「都市化=住まいの高層化」という前提のもと、都市開発が進められているが、データが示すように、子どもの安全面や成長発達面(自立面)からみると、住まいの高層階化は必ずしも良いとは言えないことがわかった。
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