研究課題/領域番号 |
15300246
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中井 孝章 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助教授 (20207707)
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研究分担者 |
山本 由喜子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (00174821)
畠中 宗一 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (10141855)
小伊藤 亜希子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助教授 (90257840)
山縣 文治 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (10159204)
上田 博之 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助教授 (70291599)
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キーワード | 動的家族画法 / 家族関係 / 食卓 / 学校給食 / 完全米飯給食 |
研究概要 |
大都市圏(大阪市と東京都)に住む小学5〜6年生に食卓の絵を描いてもらい、それを動的家族画法(KFD法)によって分析した結果、次のことが明らかになった(調査対象は1436名で、410名の有効回答があった)。(1)「食卓の絵」の表現内容をKFD法によって分析したところ(8つのタイプに分類)、家族団らんを示す「コミュニケーション充実型」が全体の35.3%、家族関係の貧困型を示す「人じるし・人マーク型」が34.6%と際だって多く、今の家庭には家族関係面で大きな格差があることが分かった。また、(2)「食卓の絵」の表現形式をKFD法によって分析したところ(4つのタイプに分類)、「大きさ・筆圧安定型」が全体の52.0%であるその一方で、「乱雑・投げやりの筆跡型」(その他の大半を占める)が33.2%と多く、食卓の充実度に関して子ども間での格差が推測される。さらに、(3)「食卓の絵」の中に自分一人しか描かれていないものが全体の14.1%もおり、しかもその中には一人食べすること(個食)をエンジョイしている絵(実際の絵からの判断)を描いた者が19.0%と少なからずいることが判明した。 大阪市の公立小学校全校(298校)の給食従事者に対して学校給食の現状と改革についてアンケート調査をしたところ(139校から有効回答)、全体の48.2%が給食は栄養上のバランスがとれていてよいから必要であるとの回答を得た。インタビュー調査と重ね合わせると、飽食社会でありながらも、家庭での食事は偏食や中食・外食等で貧困化しており、養育者は子どもの栄養を学校給食に委ねていることが少なくない。アンケート調査や改革に関する自由記述をみる限り、給食従事者もまた、そうした食事の現状を認識しており、日頃、子どもの健康のために献立を工夫していることが分かった。また、米飯給食への関心の高い給食従事者は、その実施回数を現状の3日から4日または5日(完全米飯給食)に改善することを望んでいるにもかかわらず(41.0%)、実施可能回数としては現状の3日が限度であるとする者が全体の51.1%と大半を占め、理念と現実の差異が露見された。
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