近年、食後高脂血症の動脈硬化症進展因子としての役割に注目が集まっている。そこで初年度では、油脂の種類、含量の異なる三種類のマヨネーズについて、食後高脂血症に及ぼす影響を検討するとともに、緑茶摂取の食後高脂血症に及ぼす影響について検討を行った。 健常男性20名を対象に油脂の種類、含量の異なる三種類のマヨネーズをそれぞれ15g負荷した。また健常者10名を対象に脂肪(バター30g)負荷、脂肪と緑茶400mlの負荷を行った。負荷前と負荷後1h、2h、4h、6hに採血を行い、血清脂質、リポ蛋白の変動を比較検討した。血清脂質は酵素法、リポ蛋白はアガロース電気泳動法、茶カテキンはHPLC法、LDL被酸化能は共役ジエン法によって測定した。 マヨネーネによる負荷試験では負荷後、TGの増加量を時間曲線下面積(IAUC : Incremental Area Under The Curve)として算出して比較したところ、TGマヨネーズ(血清TG:75.6±11.03、カイロミクロン-TG:9.7±1.76)に比較して、TGハーフマヨネーズでは、血清TG、カイロミクロンの上昇が有意に抑制された(血清TG:44.5±13.15、カイロミクロン-TG:4.1±0.56)。一方、DGマヨネーズにおいては、TGマヨネーズと比較して、血清TGの増加に差は認められなかったものの、カイロミクロンの増加が見られた。(血清TG:80.4±14.23、カイロミクロン-TG:11.3±0.88)。また、緑茶の負荷試験では、脂肪負荷食のみの摂取時に比較して、脂肪負荷食と緑茶を同時に摂取した時では、カイロミクロンにおいて、TG濃度の上昇が有意に抑制された(p=0.0093)。緑茶の持つこれらの抗動脈硬化性にはカテキンが関与しているものと考えられるが、2年度以降、その詳細について更なる検討を加える。
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