研究分担者 |
野嶋 栄一郎 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (20000086)
吉崎 静夫 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20116130)
西之園 春夫 佛教大学, 教育学部, 教授 (90027673)
浅田 匡 早稲田大学, 人間科学部, 助教授 (00184143)
松井 賢二 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80199728)
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研究概要 |
本研究は,教師の臨床的教育力に関わる要因を質的調査により把握し、それをもとに、アクションリサーチにより,子どもとの人間関係構築に関わる教師の臨床的教育力を明らかにし、それらの諸能力を生成する研修のあり方を明らかにした。臨床的要因が複合的であるところから、質的アプローチとしてオン・ゴーイング法とリフレクション法を用いて,主として小学校の教員を対象に,事例研究を行い,教師の実践的力量の特徴を把握した。教師は、観察者として授業に参加し,授業過程での認知を可能な限り内言し,授業後それをプロトコルに文字化し,授業過程と内言を対応させた記録を作成し,内言の意味を反省的に分析することで,授業認知の特徴を把握した。結果として,「子どもの学習状況から学習課題の適正を探る」「子どもの学習状況をとらえ、学習課題や授業展開を修正しようとする」「子どもの発言の意味を正しくとらえようとする」「子どもをできるだけ前面に出そうとする」などの特徴が授業事象と連動して把握された。 これをふまえ、授業課題をアクションリサーチにより明らかにし、その改善方策をアクションリサーチのサイクルで実施した。その結果、課題把握過程において、授業者が意識できない認知をメンタリングにより意識化できること、さらに、改善策を実施する過程においてメンターとの対話は、授業の局所的認知だけではなく、教師の授業観にまで反省的試行を促すことが確認された。このことにより、アクションリサーチにおけるメンターの重要な機能が示唆された。さらに、教師の不断の実践研究を推進するために、アクションリサーチを基盤とする研修体制について、内発的省察的授業研修が重要であることが明らかになった。
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