研究概要 |
本年度は,マルチメディアCAIシステムの設計・高度化に関する研究を行った. 具体的な研究成果としては,情報工学専攻(工学部情報工学科)の現有設備である,教育用計算機ならびにネットワーク接続装置を用いて,教授側と受講生との間で形成される仮想的なグループディスカッション部屋(「インターネット寺子屋」と呼ぶ)を創出するため,専用のマルチメディアグループ援用サーバソフトウェアを導入し、この上でのCAIシステムの設計と「寺子屋」としての機能拡充を図った. 従来のグループディスカッションのためのプラットフォームとしては,電子掲示板(BBS)システムを用いた,文字ベースかつ時間軸系列あるいは話題(スレッド)ツリーで整理された,オフラインミーティングが主であった,この意ステムでは,画像データやWebページのURLを記事中で指定することによる簡素なメディアミックスは実現できていたものの,(1)用意された図版データやWebページは実際のグループディスカッション時には「固定的」であり,受講生の反応に応じた書き込みや変更が困難である. (2)時系列やスレッドツリーでは,様々な話題が飛び交うディスカッションという場の「多様性」を収容し切れず,重要な情報の欠落が発生し,寺子屋としての現実感が失われる. (3)特に研究進捗の報告会などのゼミナールを,時間をずらしながら各受講生毎に収録し,仮想的なディスカッションの場で「再現」することが困難である. など種々の問題点があった. これらの問題点を改善するために,サーバシステムのバックエンドに,図版のタッチアップ・変更作業の記録,参照WebページのURL記録,講義風景ビデオのエンコード・記録といったディスカッション内容の全てを収容するためのデータ格納用高機能データベースシステムを設置し、上記グループサーバと連携させることにより,インターネット寺子屋のディスカッション部屋の、時間差収録と再生を実現した.
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