五感提示インタフェースの開発とバーチャルリアリティ実習教材への応用に関する研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15300284
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 東海大学
• 研究代表者: 伴野 明 東海大学, 電子情報学部, 教授 (90328104)
• 研究分担者: 濱本 和彦 東海大学, 電子情報学部, 助教授 (50266368) ; 大原 茂之 東海大学, 電子情報学部, 教授 (10056294)
• キーワード: 五感提示 / ヒューマンインターフェース / バーチャルリアリティ / 実習 / 教材 / 触覚 / 嗅覚 / 創造性教育

研究概要

本研究の目的は、学生が各種感覚提示装置を利用して、自らVRコンテンツを作成する能力を身につけることを目標にした教科「バーチャルリアリティ制作」の教授法確立に資するため、感覚提示インタフェースの開発と、教材への応用を研究するものである。本年度は、4年計画の初年度であるため、当初計画に従って主に研究の環境整備を進めた。
(1)研究スペースを確保し、視覚、聴覚、力覚の感覚提示装置を用いたVR空間生成研究環境を構築した。教材開発用基本設備として、力覚提示装置(PHANToM)、力覚提示用ソフトウェア、制御用パソコンを導入した。また、サーバ・クライアント型のVR教育システムについて検討するため、機材を導入した。同コンセプトは、Webカメラ情報をサーバに蓄積し、クライアント側で画像を合成して、リアリティのある仮想教育環境を構築するものである。
(2)嗅覚提示関連では、微少香料で分な嗅覚刺激の得られる香り発生装置を新規設計し、基本部分を試作し、原理確認した。また、VR環境の中に香りを取り入れる手法についてアイデアを展開した。実験に使用する香料については、香料専門家に依頼し、合成香料、自撚香料、各々数10種を作成した。
(3)触覚提示関連では、実習に利用する観点から小型・軽量な触覚提示装置について調査した。また、実習環境の中で、3次元物体の弾性表現をどのようにすれば、効果的かについて検討し、3D物体を小球の集合体として定義し、小球間の摩擦や反発を考慮してリアリティを実現する手法を考案した。
(4)教材開発関連では、教員が見本となるVRコンテンツを作成し、当該ソフトウェアを雛型として、学生が応用を考える方法を、実際の授業の中で実施した。授業終了後、アンケートにより学生の反応を調査し、問題点を抽出した。その結果、本体験型授業は、ねらい通り学生にインパクトを与えたようで、「創造性が刺激された」、「興味が湧いた」等と、回答は概ね好評であった。物理法則を組み込んだVRコンテンツについて、予備検討を行なった。

研究成果

• [文献書誌] 伴野 明, 辻 秀一: "創造性教育とIP教育の一体的取り組みとインターネット活用による効率化"平成15年度工学・工業教育研究講演会講演論文集. 613-616 (2003)
• [文献書誌] 伴野 明, 辻 秀一: "テレビ会議を用いた発想支援教育"電気通信普及財団, 研究調査報告書. No.18. (2003)
• [文献書誌] 外口慶樹, 伴野 明: "匂い付き映像メディア作成のための匂い要求調査実験"HI学会, ヒューマンインターフェースシンポジウム2003. 767-770 (2003)
• [文献書誌] 伴野 明, 柳田康幸, 鉄谷信二: "匂い付き映像メディア作成のための嗅覚刺激提示方法の一提案"計画自動制御学会第4回SCIEシステムインテグレーション部門講演会. SI2003. (2003)
• [文献書誌] Y.Yanagida, A.Tomono 他: "An Unencumbering, Localized Olfactory Display"ACM CHI2003 Extended Abstracts, Fort Lauderdale, Florida, U.S.A. 988-989 (2003)
• [文献書誌] Y.Yanagida, A.Tomono 他: "A Nose-Tracked, Personal Olfactory Display"SIGGRAPH2003 Sketches & Applications. (2003)
• [文献書誌] 中西将, 濱本和彦: "Haptic Interfaceを用いた超音波弾性情報提示システムの基礎検討"日本ME学会 包括医療におけるマルチメディア研究会研究報告集. Vol.8 No.4. 6-9 (2004)
• [文献書誌] 生路茂太, 濱本和彦: "WBT e-Learningによるプログラミング学習のためのWebベース統合開発環境の開発"情報科学技術フォーラム2003 講演論文集. 605-606 (2003)