研究課題
視覚障害者を対象に授業を行うには、使用される教科書に対して、全盲には教科書を点訳した点字図書を、弱視には視力に合った拡大図書を事前に用意しなければならない。通常の授業において視覚障害者が、板書内容をリアルタイムで読める環境を提供すため、板書される内容を日本語部分と他の記号部分に分離し解析を行う。日本語部分の解析は、研究分担者である田中が行い、数式等の記号部分は金堀と鈴木が中心にシステム開発を続けており、本部分の研究開発は、次年度にも引き続き継承させる。本課題の講義内容は理工系科目を対象としているが、化学で使われるベンゼン環に代表されるような理化学記号は対象外とし、数式を対象とした板書記号を想定したシステムとしている。ただし、数式における上付・下付記号や分数に代表される上下の記号の並びを応用することで、物理や化学で使用される記号の多くを網羅できる。オンライン手書き文字認識・数式認識を用いて、板書内容をコード化できれば、弱視者用に拡大文字にリアルタイムで変換することは容易で、全盲用に点字に変換するのもこれまで育んできた自動点訳技術を組み込むことで、ピン・ディスプレイに点字として表示可能である。なお、板書内容の表示には、通信手段としてインターネットを用いる。これにより、健常者(晴眼者)のための遠隔講義システムにも利用可能な環境が構築可能である。視覚障害者用リアルタイム授業環境を提供することで、受講者と講義担当者の双方が抱えていた問題を解消する。今年度は、ユーザーインターフェースを含めたシステム全体の基本設計を行い、システムに組み込むための点字フォントや修正用のエディタの開発にも着手した。また、今後の国際標準となるであろうUEBCが現行日本点字規則に与える影響を考慮し、点字国際委員会にも日本案の提示を本年度の初めにカナダで行った。検討した。この検討結果に従い、2004年3月にトロントで開催されたUEBC国際会議へ藤芳・大武が参加し、本国際会議の結論は、UEBCを英語圏の標準点字コードとすることが決議されているが、現時点ではUEBCを日本へ導入する結論が、日本点字委員会から出されていないため、点訳形式を現行日本点字規則とUEBCの2つの形式で行う設計で、それぞれの変換形式に対する問題点を調査し、次年度以降のシステム開発に盛り込む予定である。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
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