研究課題
基盤研究(B)
本研究では、世界的にも注目されてきつつあるレーザーラマン分光分析法を文化財資料の非破壊非接触の材質判定分析に対して適用できる技術を開発し、文化財資料のラマンスペクトルライブラリーを構築することを目的とした。従来レーザーラマン分光分析法において問題となっている照射レーザーによる蛍光発生による妨害と試料自体の照射レーザーの強い吸収によるラマン散乱効率の低下を解決するため、複数の励起レーザーを装備した携帯型のレーザーラマン分光分析装置を開発した。初年度に試作したレーザーラマン分光分析装置に対して昨年度改良を加えたところ、携帯性と分光器部分について大幅な改善を達成することができた。最終年度にあたり、さらに問題点を洗い出し、レーザー出力、分光器回転部、電源電圧部などの改良を加えた。その結果、分光器のずれの正確な補正、携行性の向上(軽量化と小型化)、12Vバッテリー駆動によるフィールドでの汎用性の向上を達成することができた。今回の改良を終えて、一応2本の波長の異なる励起レーザーを搭載した携帯型のレーザーラマン分光分析装置を完成したといえるであろう。また、文化財資料に対してレーザーラマン分光分析法を適用するためには、比較となる標準資料のラマンスペクトルおよび考古資料のラマンスペクトルの蓄積が不可欠である。新たに開発した携帯型レーザーラマン分光分析装置をはじめ、既存のレーザーラマン分光分析装置により、多くの標準資料スペクトルと考古資料のスペクトルを蓄積してきた。文化財資料を非破壊非接触でかつ迅速にフィールドにおいて分析できる方法としてレーザーラマン分光分析法を適用できるようになったことは、考古資料の分析において大きな意義をもつものと考えることができる。
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Juyo-Bunkazai Sasaki-ke Jutaku Hozonsyuri Koji Hokokusyo
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