研究概要 |
活断層の詳細な位置を明らかにすることは,過去の地震活動を知り,将来の地震発生の予測を検討するためのみならず,地震災害軽減を考える上でも最も基本的かつ重要な情報源である.このことは,地震国日本でありながら,1995年兵庫県南部地震以前には人々にはまだ十分に知られていなかった. そこで,活断層の基本的データとも言える,断層分布図とその属性資料を詳細な空中写真の判読に基づいてその資料を作成した.そして2002年に,『活断層詳細デジタルマップ』や『第四紀逆断層アトラス』が出版され,さらに都市圏活断層図などの詳細な活断層図が作成された.こうした詳細活断層図は,従来の活断層図の定義と異なるももの,断層の正確な位置を知るのみならず,活断層の諸性質を知る重要な情報源でもある.こうした活断層の情報は,絶えずその見直しを必要とする. 本研究において,地形・地下地質の広範な視点から検討して,その分布(地表トレース),変位速度,最新活動時期,平均活動間隔などに関する情報を収集して,主要活断層および小規模活断層に対して,年度を分けて空中写真判読を行い,分布の詳細を明らかにした.そして,活断層と地震発生の関係を調べた. 1)活断層の活動周期は,いつまで遡れるか 2)断層変位に関しては固有地震規模に対応したものであるかどうか 3)長大活断層のセグメンテーションとグルーピング化はいかに進めるべきか 4)主断層と副断層の見分けをいかにすべきか, そして,こうした課題に対して,反射法地震探査に基づいた地下地質構造からの検討が有効であることを明らかにした.
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