研究分担者 |
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
久保 純子 早稲田大学, 教育学部, 教授 (90275967)
藤本 潔 南山大学, 総合政策学部, 教授 (50329752)
奥貫 圭一 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (90272369)
堀 和明 名城大学, 理工学部, 講師 (70373074)
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研究概要 |
濃尾平野・矢作川低地・奄美大島などの沖積低地および海外対象地域であるメコンデルタ・アンダマン海沿岸沖積低地・バンダアチェ平野などにおける地形・堆積物や微地形に関する検討を進め,それらの形成および地域的特色に関する情報を把握するとともに,後2者については対象地域の地形・堆積物の特性と2004年12月26日に発生した津波災害との関係についても検討した. 海津・藤本は,メコンデルタに関して現地研究者のNguyen氏,Ta氏とともにメコンデルタ北部地域において現地調査をおこない,メコンデルタ北部〜サイゴン川低地の地形発達およびマングローブ林の立地変動を明らかにするため、ロンアン省、ホーチミン市北部および南部、ホーチミン市カンザー地区などでボーリング調査を行うと共に、堆積物の14C年代試料を測定に供した。その結果,サイゴン川低地の完新世中期における海岸線の位置に関するデータが得られ,地形変化の概要を2007年3月に開催された日本地理学会で報告した.久保は前年度に引き続き、メコン川下流域(カンボジア)において氾濫原地域の地形分類図作成と、表層地質調査、土地利用・水利用調査をおこない,プノンペン周辺の低地微地形と水害との関係を詳細に検討した.また,海津は,矢作川沖積低地においてボーリング調査を実施し,完新世後期における土砂堆積域の変遷について低地の地形・地質に関する検討を進めた.その結果,矢作川低地では土砂の堆積域が比較的固定化されていたことが明らかになり,完新世後期以降土砂堆積が比較的顕著に発生した時期と相対的に安定した時期が存在していることが明らかになった.これらに加えて,タイ南部アンダマン海沿岸低地の微地形と津波堆積物の分布および津波流動についての検討を進めるとともに,インドネシア国スマトラ島北端部のバンダアチェ平野において平野の微地形と津波の流動に関する現地調査をすすめた.その結果,バンダアチェ平野においては低地の地形が河川営力の卓越する中・西部と波浪営力の卓越する東部,さらに臨海部の潮汐営力の卓越する部分とに別れることが明らかになり,それらの違いによって津波の流入・遡上状況に顕著な違いが見られることを示した.とくに,臨海部の潮汐営力卓越地域では低平な干潟が広がるため津波は容易に内陸に侵入し,中西・部では海岸線から2km付近でも大きな被害を受けた.このことは浜堤列の卓越する東部との顕著な違いとなっている.
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