研究課題
琉球列島の沖縄島、屋我地島と津堅島(両島とも沖縄島の周辺島)、および石垣島における完新世海面変動、地殻変動、サンゴ礁の発達史、および津波または台風の高波による堆積物の移動について調査・分析した。その研究成果は以下の通りである。1.沖縄島と津堅島完新世サンゴ化石のC-14年代値17件(暦年代)と具志頭海岸における既存のボーリングコア中のサンゴ化石の未較正値を暦年代に較正するために2件のδ13Cを得た。その結果、以下の諸点が判明した。沖縄島では約6000年前に相対的な高海面期が訪れ、その後海面は下降し、約4000年前および2500年前に海面安定期が到来した。南部の具志頭では約8500年前にサンゴ礁が形成を開始し、その後海面の上昇に伴ってサンゴ礁が上方に形成された。海面が相対的に安定した約6000年前以降、サンゴ礁は順次沖側に発達し、約4000年前および約2500年前以降のサンゴ礁が形成された。一方、中北部では約6000年前のサンゴ礁は出現せず、約4000年前以降のサンゴ礁が形成された。上述の完新世海面変動およびサンゴ礁の発達史の特徴から、南部における隆起運動が推測される。具志頭海岸、東南部の知名崎海岸、および津堅島北端の地層の堆積相から、約3400年前の大波(津波または台風の高波)が示唆される。2.屋我地島北海岸に分布しているビーチロックのC-14年代値(暦年代)を2件得た。当ビーチロックは潮間帯に位置しており、それらの年代は約2000年前を示す。以上の年代と高度から推定すると、従来、日本本土で提案されていた、いわゆる「弥生の海退」とは整合しないことが判明した。3.石垣島完新世津波堆積物中のサンゴ化石のC-14年代値4件(暦年代)を得た。この結果、約3400年前頃と約800年前頃の津波襲来時期が推測される。石垣島では、東南部に完新世離水サンゴ礁や離水ノッチが発達しており、南東から北西への傾動運動が推測される。
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琉球大学教育学部紀要 68集
ページ: 265-271
Proceedings of 10^<th> International Coral Reef Symposium, 2005 (印刷中)