研究概要 |
(1)研究地点として、ミズナラを主体とする森林生態系(火山灰由来の酸性褐色森林土,筑波大学農林技術センター川上演習林)およびコメツガを主体とする森林生態系(花崗岩由来のポドゾル性土,山梨県大弛国有林内)を設定した。 (2)上記両地点において,各2ヶ所に,土壌溶液中の溶存有機物採取のためのポーラスカップおよび体積腐植層の浸透水中の溶存有機物採取のためのゼロテンション採水装置を設置した。同時に土壌水分・温度計(ロガー式)も設置した。 (3)両地点の層位別土壌試料について,土壌有機物の蓄積量・組成分析,非晶質アルミニウムと鉄の形態分析及び土壌呼吸量・バイオマス量の測定を行った。また,得られた土壌溶液および浸透水中の溶存有機物についてLeenheer(1986)による企画分析を行った。 (1)〜(3)の研究を通して(本研究の初年度),両地点の植生・土壌型が異なる森林生態系における体積腐植層の量と組成ならびに溶存有機物の量と組成が明らかとなり,土壌温度・水分および土壌微生物との関連性が強く示唆された。今年度は,いわば自然条件下での土壌圏溶存有機物の動態を調べた研究であり、来年度からの模擬温暖化実験に対する対照データの収集期間として位置づけられる。
|