研究課題/領域番号 |
15310007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木暮 一啓 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10161895)
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研究分担者 |
森崎 久雄 立命館大学, 理工学部, 教授 (50125671)
千浦 博 国際基督教大学, 教養学部, 準教授 (00103698)
和田 実 東京大学, 海洋研究所, 助手 (70292860)
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キーワード | 海洋細菌 / 微小粒子 / 磁気ビーズ / 付着 / ウイルス / ポリマー層 / 反発エネルギー |
研究概要 |
海洋表層域には、その粒径が約0.5ミクロン以下の微小粒子が10^<7-8>/mL存在する。その大部分は生物過程に由来する有機物と考えられており、本研究はそれらの粒子と細菌との相互作用を明らかにしていくことを目指している。平成17年度は、この課題に対して細菌の付着過程からの視点、ウイルス関連粒子と細菌との相互作用からの視点、から取り組んだ。最終的にこの捕獲プロセスを確認する新しい方法論を開発するとともに、海洋に応用して定量的なデータを得た。以下に要点を述べる。 ・微生物細胞の付着メカニズムに関し、基礎的知見を蓄積し、微生物細胞表面にポリマー層が発達していれば、細胞と付着基質間の静電的な反発エネルギーがそれほど高くないことを明らかにした。また、人工的にラテックス粒子を合成し、種々の基質表面に付着させ、付着メカニズムを解析した。現在、付着粒子(あるいは細胞)と付着基質間にエネルギー障壁がある場合から無い場合までを総合して説明できる理論を構築中である。 ・海洋細菌Vibrio fischeriを用い、それが生産する微小粒子の数、増殖相との関わり、それらの粒子の性質について生化学的な視点から調べた。その結果、これらの粒子は核酸を含んでウイルスと同様の挙動を示すが、一般に非特異的であり、他の細菌に対して親和性の高い性質を持つことが明らかになった。 ・磁気ビーズを天然海水中の細菌群集に混ぜ、一定時間攪拌した後に、回収し、粒子捕獲能を持つ細菌を選択的に集める方法について検討を行なった。その結果、ビーズのサイズに応じて異なる群集がそれを捕獲すること、ビーズの表面の性質はあまり大きな影響を持たないこと、捕獲能を持つ細菌群集は、他と比較してより高い高分子分解活性を持つことを明らかにした。この方法は世界で初めて開発されたもので、今後新しい方法論および概念としてインパクトを持つものと予想される。
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