研究課題/領域番号 |
15310010
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
小泉 博 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (50303516)
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研究分担者 |
秋山 侃 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (10283318)
鞠子 茂 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (10251018)
大塚 俊之 茨城大学, 理学部, 助教授 (90272351)
別宮 有紀子 都留文科大学, 初等教育学科, 助教授 (20326094)
横沢 正幸 独立行政法人農業環境技術研究所, 地球環境部, ユニット長 (80354124)
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キーワード | 冷温帯落葉広葉樹林 / 炭素安定同位体 / 土壌炭素 / 炭素シーケストレーション / 土壌呼吸 / 根呼吸 |
研究概要 |
平成18年度は、土壌から放出するCO_2(土壌呼吸)、根および土壌有機物の炭素安定同位体比(δ^<13>C)を測定することで、土壌呼吸に占める根および土壌微生物の呼吸の割合を推定することを試みた。 高山サイト(冷温帯の50年生落葉広葉樹林)において、2005年6月に、土壌と細根の採取を深さ0-95cmで行った。採取した土壌から根を取り除いた後、SOMを比重で選別し、それぞれのδ^<13>C値を測定した。また、2005年11月にステンレス製土壌チャンバーを用いて、土壌から放出するCO_2を採取した。採取したCO_2は濃度とδ^<13>C値を測定した。 深さ0-95cmに蓄積する総炭素量は26.2kg C m^<-2>と見積もられ、その約半分がAB層(深さ20-50cm)に存在していた。これに対して、細根は全体の90%が0-20cmに分布していた。根、およびSOMのδ^<13>C値の垂直分布を調べると、根のδ^<13>C値は、-27.8‰から-28.5‰と、この森林に優占する樹木の葉のδ^<13>Cと同程度であった。根と比較して、SOMのδ^<13>C値は高く、^<13>Cが多くなっていた。また、SOMの間でも、Low density(未分化のhumified SOM)よりもHigh density(鉱質土壌に付着する安定化したSOM)のδ^<13>C値は高かった。さらに、SOMのδ^<13>C値は土壌深度が深いほど高く、深い土壌ほど有機物の起源が古いと考えられる。一方、根を構成する炭素は、土壌深度にかかわらず、比較的新しい光合成生産物に由来すると考えられる。CO_2濃度およびδ^<13>C値から、土壌呼吸に由来するCO_2のδ^<13>C値は-26.7‰と推定された。この値と根およびSOMのδ^<13>C値をマスバランス式に代入し、土壌呼吸に占める根呼吸およびSOM分解の割合を推定した。そ結果、土壌呼吸によって放出するCO_2のうち、根を起源とする炭素の割合は22.3%であると推定された。
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