研究課題
本研究は、化学物質総合管理のための評価指標を提示することで主体者の自主管理を促進し、社会全体の化学物質総合管理の向上を図ることを目的とする。3年間の研究期間における2年目である本年度は、初年度に提案した評価指標の基本体系-Science軸・Capacity軸・Performance軸(SCP軸)-に基づいて評価指標を具体化して評価を実施し、化学物質総合管理の向上のための課題抽出と評価指標の改良を試みた。まず、化学物質総合管理への取り組みについてSCP軸にそったアンケート調査を実施した。化学メーカー、化学物質ユーザーメーカー、流通、小売等の広範な業態の一部上場企業170社以上から回答を得て解析した結果、全体として現行の法令遵守のレベルは達成されているものの、業態により重点を置く取り組みが異なることが明らかとなった。同時にSCP軸の有効性を確認できた。一方、Corporate Social Responsibilityという観点に照らしつつ、欧州における企業・NGO・国際機関・行政の化学物質総合管理に関する最新動向を現地調査した。化学物質に関する新たな枠組みとしてREACHとGHSが論点となっており、企業や専門機関によるリスク評価が実際に進展していた。またこうした取り組みを企業価値向上に統合させる動きも見られた。このことから、今後、評価指標の視野をハザード評価からリスク評価・リスク管理そして経営に拡大していく必要性が見出された。以上より、化学物質総合管理の向上のための日本社会の課題として、サプライチェインの川上と川下の間における使用条件等の情報共有化、ハザード分類基準の国際調和への対応、科学的知見の社会インフラの整備、多様なセクターの協同の必要性などを提起した。今後、評価対象の拡大を実施し、評価指標を完成していく。
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化学生物総合管理学会誌 化学生物総合管理 第1巻第1号
ページ: 83-98
日本化学会第85春季年会講演要旨集
ページ: 7
基盤調査(B)「化学物質総合管理に係る企業行動に関する評価指標の開発研究」報告会要旨集
ページ: 1-24
化学生物総合管理学会平成16年度学術総会設立記念講演会要旨集
ページ: 12-13
日本化学会第84春季年会講演要旨集
ページ: 17-19
第15回 高分子学会グリーンケミストリー研究会講演要旨集
ページ: 1-2