研究課題/領域番号 |
15310029
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
吉岡 崇仁 総合地球環境学研究所, 研究部, 助教授 (50202396)
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研究分担者 |
木平 英一 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (70345867)
徳地 直子 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教授 (60237071)
関野 樹 総合地球環境学研究所, 研究部, 助教授 (70353448)
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キーワード | 渓流水質 / 輪伐林 / 硝酸塩イオン / 集水域 / 伐採の長期影響評価 |
研究概要 |
小集水域単位で輪伐を行っている、京都大学和歌山研究林および周辺部森林において、伐採年次の異なる5つ(3、13、28、40、87年)小集水域に量水堰を設置し、流量・pH・電気伝導度等の連続観測を開始するとともに、林内にそれぞれ2つの調査区を設け、植物・土壌への炭素・窒素等の蓄積量等の測定を開始した。また、これら5つを含む33ヶ所の小集水域で渓流水を採取し、溶存成分の分析を行った。その結果、渓流水中の硝酸塩イオン(NO_3^-)濃度は、林齢の若い森林ほど高い傾向が見られたが、最大値は伐採直後ではなく、1-2年後に見られた。このことは、伐採によって地上に供給される有機物が分解する一方、植生によるNO_3^-の吸収が低下することによると考えられるが、その影響にはタイムラグがあることから、土壌における物質循環メカニズムの変化が関与していることを示唆している。4年前に行った調査でも同様の結果が得られているが、今回の結果と比較すると、4年間の時間経過を忠実に表していることが明らかとなった。したがって、対象とした森林域は、伐採による森林・河川への長期的影響を俯瞰的に調査出来ることが明らかとなった。一方、ケイ酸、Ca^<2+>、Al、SO_4^<2->の濃度には、林齢との関係が明瞭ではなく、これらの鉱物の風化に依存する溶存成分は集水域の地質の影響が大きいと考えられる。地質の差異については、Srの安定同位体比測定等によって明らかにする予定である。量水堰による流量観測のデータをあわせて、今後は、流出量の定量化を目指す。さらに、より広い範囲での渓流水質と集水域環境の関係を明らかにする目的で、日本全国の渓流水調査(1270ヶ所以上)を実施し、溶存成分の分析を行った。現在、各集水域の情報(面積、傾斜度、植生、気象データ、土地利用等)を収集しており、今後、これらの情報と水質との関係を解析する予定である・
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