1.ディーゼル排気微粒子構成成分による感染性肺傷害増悪メカニズムの解明に関する研究 糖尿病合併症として感染症は重要である。ディーゼル排気微粒子の構成成分の経気道曝露が細菌毒素による感染性肺傷害に及ぼす影響とその増悪メカニズムを検討した。DEPに含まれる有機化学成分は好中球性炎症を有意に増悪したが、炎症性サイトカインやケモカインの局所発現には影響を及ぼさなかった。一方、ディーゼル排気微粒子の核をなす残査粒子成分の経気道曝露は、好中球炎症と肺胞出血を顕著に増悪し、炎症性サイトカインやケモカインの著名な発現増強も惹起した。 2.ディーゼル排気微粒子が血液凝固系に及ぼす影響に関する研究 糖尿病合併症として、血管病変や血栓形成は重要である。ディーゼル排気微粒子の構成成分が凝固・線溶系に及ぼす影響を検討した。細菌毒素の経気道曝露により、フィブリノーゲンの上昇をはじめとする凝固系の活性化が観察された。ディーゼル排気微粒子の核をなす残査粒子成分の併用気道曝露は、この変化をさらに悪化させた。 3.ディーゼル排気微粒子が糖尿病の臓器合併症に及ぼす影響に関する研究 ディーゼル排気微粒子の経気道曝露が、糖尿病性腎症や脂肪肝に及ぼす影響を検討した。ディーゼル排気微粒子により糖尿病性腎症の明らかな増悪は今のところ認められていない。しかし、糖尿病に伴う脂肪肝に関しては、ディーゼル排気微粒子の経気道曝露による増悪傾向が観察された。
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