ディーゼル排気微粒子構成成分による感染性傷害の増悪とメカニズムの解明に関する研究 糖尿病の合併症として重要なもに、感染症が挙げられる。ディーゼル排気微粒子(DEP)とその構成成分(経気道曝露)が細菌毒素によって引き起こされる感染症肺障害に及ぼす影響とその増悪メカニズムを検討した。DEPに含まれる有機化学成分は好中球性炎症を有意に増悪したが、炎症性サイトカインやケモカインの局所発現には影響を及ぼさなかった。DEPの核をなす残査粒子成分の経気道曝露は、好中球性炎症と肺胞出血を顕著に増悪し、炎症性サイトカインやケモカインの著名な発現増強も引き起こした。DEP全体を細菌毒素とともに暴露すると、肺傷害と炎症性タンパクの発現は、きわめて顕著に増悪した。これらの変化は、転写因子(NF kappa B)の活性化とよく相関していた。 ディーゼル排気微粒子が血液凝固系に及ぼす影響に関する研究 血管の狭窄性、閉塞性病変や血栓の形成は、糖尿病合併症の進展や発現の重要なステップである。DEPおよびその構成成分が凝固・線溶系に及ぼす影響を検討した。細菌毒素の経気道曝露により、フィブリノーゲンの上昇をはじめとする凝固形の活性化が観察された。DEPの核をなす残査粒子成分の併用気道曝露は、この変化をさらに悪化させた。 ディーゼル排気微粒子が糖尿病の臓器合併症に及ぼす影響に関する研究 DEPの経気道曝露が、糖尿病性腎症や脂肪肝に及ぼす影響を検討した。DEPの経気道暴露により、糖尿病性腎症の明らかな増悪は確認できなかった。一方、糖尿病に伴う脂肪肝に関しては、DEPの経気道暴露による増悪傾向が観察された。
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