研究課題/領域番号 |
15310031
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小野 哲也 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00107509)
|
研究分担者 |
池畑 広伸 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90250737)
上原 芳彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30223499)
中村 典 放射線影響研究所, 遺伝学部, 部長(研究職) (00010116)
|
キーワード | ミスマッチ修復 / 突然変異 / lacZ / 生物学的意義 / マウス / 染色体 |
研究概要 |
生体内での突然変異の増加は癌化や老化、細胞機能の低下につながる重要な要因と考えられているが、近年開発されたDNAミスマッチ修復欠損マウスでは高い突然変異を示すにもかかわらず、一部の組織での癌化以外、特段の生物学的影響がみられていない。本研究ではこのマウスを用い、突然変異増加と細胞、組織レベルでの変化の相関性を詳細に調べ、突然変異の生物学的意義の解明を目指す。本年度はMlh1(-/-)マウスの2ヶ月及び1年令になったものの組織と突然変異を解析し胎仔期及び新生仔期での結果と比較したが突然変異のさらなる上昇はみられず、Mlh1は初期の胎仔期でのみ重要な役割をもっていることが示唆された。組織については2ヶ月令では精巣が小さいこと以外目立った障害はみられず、1年令で生き残ったものをみると一部のマウスの小腸に腫瘍がみられたものの、多くの臓器は正常であった。つぎに別のDNAミスマッチ修復遺伝子であるMsh2の欠損マウス胎仔について調べた。12日令で突然変異頻度は野性型のものより増加していたがMlh1欠損マウスよりは低く、両者が異なる役目を持っている可能性が示唆された。Msh2欠損マウスでも組織に異常は見られなかった。さらに胎児期に被曝したヒトのリンパ球を調べた所、母親のリンパ球に見出されるような染色体異常頻度の増加は見出されなかった。これは胎児期では変異保持細胞の除去活性が高いことを示唆するものであるが、上記のDNAミスマッチ欠損マウスで見られる結果とは必ずしも一致しない。今後、さらにMlh1とMsh2の違い、染色体異常とDNA変異の違い、Msh2欠損マウスの加齢に伴う変化について解析を進める必要がある。
|