研究課題/領域番号 |
15310033
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石井 哲郎 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20111370)
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研究分担者 |
熊谷 嘉人 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00250100)
柳川 徹 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10312852)
蕨 栄治 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (70396612)
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キーワード | Prx I / Fe-NTA / ニトロキシルラジカル / Nrf2 / スルフォラファン / HO-1 / HSP70 |
研究概要 |
抗酸化酵素パーオキシレドキンI(Prx I)遺伝子破壊マウスのC57BL株とのバッククロスが十分進行したので、野生型との違いを調べた。外見上全く差が無く、血液のパラメーターにも差が出なかった。2003年にNeumanらがNatureに発表した加齢に伴う溶血も確認できなかった。生体内でスーパーオキサイドを産生することが知られている鉄錯体(Fe-NTA)を投与して肝臓と腎臓の組織障害を比較したところ、Prx I^<-/->マウスにおいて末梢血中のAST、ALTの上昇が4時間後と12時間後に2倍程度高く、酸化障害が大きいことが推測された。また、安定なニトロキシルラジカル化合物を腹腔に投与してEPRによりラジカルが肝臓と腎臓において消去される速度を定量したところ、Prx I^<-/->マウスにおいてラジカル消去速度が有意に遅いことが明らかになった。これらのことから、Prx Iは間接的に組織内でのFe-NTAによるスーパーオキサイド産生の抑制とラジカル化合物の消去に一定の役割を果たしていることが明らかになった。また、Prx Iがなくても組織の抗酸化能力が高いことが示され、Prx I以外の抗酸化酵素が補っていることが推測された。 ヒ素化合物の細胞毒性についての研究で、最近Nrf2活性化剤として注目されているスルフォラファンがヒ素毒性を緩和することを初めて見出した。スルフォラファンで前処理をしておくとヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)とHSP70が誘導される。その後に無機ヒ素化合物で処理すると未処理細胞に比べて細胞死、DNA切断などが少なくなることを示した。HSP70の誘導はヒ素に対して細胞防御効果があることが知られているので低濃度のスルフォラファンによるHO-1とHSP70の事前の誘導が細胞の抗ヒ素力を高めていると推測した。
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