研究課題
本研究は、平成15〜17年度の間に、内分泌撹乱物質を選択的に吸着し、環境系より分離する分子インプリント膜ならびにフイルターを開発し、その応用研究に関する研究である。研究期間内に内分泌撹乱物質の選択認識とそれによる分離及び検出技術の確立に関する研究を推進してきた。特に分子インプリント法を利用したビスフェノール類のような内分泌撹乱物質に対して選択的な認識機能を持ち、かつ、これを高効率に捕捉できる高分子分離膜ならびにフィルターを開発した。さらにこれにより捕捉した汚染化合物を検出できるような(2)本研究の特色は分子インプリント機能とフイルター機能を融合させた素材を用いていることで、いわゆる内分泌撹乱物質等の環境汚染物質にだけテーラーメイドした素材を創製しうる事ができ、さらに付加的な価値としては膜やフイルターまたはフイルムといった形状に加工できるためによりその応用の範囲が広いことを実証した。これには我々が独自に開発した、インプリントプロセスに簡便性を兼ね備える手法では、この技術を新たに、ハイブリッドインプリント手法と呼びその確立研究を展開した。本研究の申請内容は我々独自の研究アプローチによりこれまで展開されてきた分子インプリント膜の実用化へのステップとしての位置付けがなされている。すなわち、当該申請以前に確立した相転換インプリントと汎用的に関連する架橋剤を利用した重合タイプの分子インプリントポリマーを組み合せ、膜化並びにフイルター、フイルム化のプロセスに適応した。すなわち、高次に架橋したもろい分子ネットワークのために薄膜化や高分子の特徴であるフイルム化が不可能であるためである。そのため当該研究のアプローチは両者を混合し、多孔性フイルター内に顆粒タイプのインプリント樹脂を内包させる事にあった。ポリスチレン、セルロースアセテート、ナイロン、ポリスルホン等のポリマーで検討する事で、良好なハイブリッド条件を確立でき、従来の架橋型インプリントと同様な認識機能を持つ膜やフイルターの開発が可能となった。得られたフイルタービスフェノールに対して高い分離係数を有し、α=10という興味深い特性を持つ事が示された。これら結果は国内外においても類似した研究例はなく、実用化が急がれ、かつ、基礎的な研究成果も要求されている大変意義の深い研究であると考えている。またこのようなインプリント材料の環境浄化プロセスへの適応をにらんだ研究を遂行したにあたり、この分野の科学技術の技術的促進に貢献できたと考えている。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
J.Membrane Sci., (印刷中)
J.Appl.Polym.Sci., 97
ページ: 620-626
Science Technology of Advanced Materials, 6
ページ: 165-171