研究課題/領域番号 |
15310036
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松永 司 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (60192340)
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研究分担者 |
石垣 靖人 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (20232275)
若杉 光生 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (80345595)
山下 克美 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (10191280)
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キーワード | DNA損傷 / ヌクレオチド除去修復 / 紫外線 / シクロブタン型ピリミジンダイマー / (6-4)光産物 / 色素性乾皮症 / ノックアウトマウス / 適応応答 |
研究概要 |
紫外線誘発DNA損傷であるシクロブタン型ピリミジンダイマーや(6-4)光産物は、ヒト細胞においてヌクレオチド除去修復機構のみで修復されると考えられてきたが、我々は最近(6-4)光産物に働く新規のDNA修復系の存在を示唆し、この修復系の実体解明を目指して解析を行った。その結果、ヌクレオチド除去修復を完全欠損しているxpaおよびxpgのノックアウトマウス由来細胞においても、(6-4)光産物の消失が再現的に観察され(24時間で30-50%)、シクロブタン型ピリミジンダイマーの消失も(6-4)光産物より程度は低いものの認められた。さらに、シクロブタン型ピリミジンダイマーの検出感度を10借上昇させることに成功し、健常人由来細胞で100%、XP-A細胞でも90%程度が生存できる0.1J/m^2という紫外線照射後の修復動態をXP2BI細胞(XP-G)で調べたところ、シクロブタン型ピリミジンダイマーの時間依存的な消失がより顕著になり、新規のDNA修復機構が(6-4)光産物と同様にシクロブタン型ピリミジンダイマーに対しても働きうることが示唆された。また、適応応答についても検討を行ったが、前日に極低線量を照射しておくことで修復効率のわずかな亢進が見られたものの、適応応答の存在を確信するには至らなかった。以上の結果より、(1)この修復活性はヌクレオチド除去修復の残存活性ではなく別の機構によること、(2)この機構はヒトのみならずマウスにも存在すること、(3)修復効率はヌクレオチド除去修復と同様にシクロブタン型ピリミジンダイマーより(6-4)光産物の方が効率的であること、(4)この経路には少なくともXPAおよびXPGは関与しないことが明らかとなった。
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